*** 筒井筒のお約束をもう一度・・16<高彬・初夜編> ***

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』



           ※このお話は初夜編(完結済み)の高彬サイドの話です。
                        






***  筒井筒のお約束をもう一度・・16<高彬・初夜編> *** 









ぼくの呼びかけに瑠璃さんが視線をこちらに向け、目が合ったところで切り出した。

「隣で瑠璃さんに寝られるぼくの身にもなっておくれよ」

一言一言に重みを持たせて言うと、瑠璃さんはにっこりと笑い

「大丈夫よ。あたし、わりかし寝相は良い方なのよ、安心して」

と心持ち、胸を張ってみせた。

「そうじゃなくて」

心の中でため息をつく。

一体、どう説明しようかと言葉を探していると

「じゃな、なによ。身になってくれよ、だなんて。いったい、どんな身になれっての」

局に戻りたくない一心なのか、瑠璃さんはじれたような声で言った。

「・・・・」

目が合って────

ぼくは無言のまま瑠璃さんを抱き寄せた。

どんな身なの、と聞かれたからには、教えてあげるのが筋というものだろう。

びっくりしたような瑠璃さんの顔が一瞬目に入り、何か言いかけたけど、その隙を与えずに接吻をする。

やがて瑠璃さんの唇から困惑が伝わってきた。

構わずに続ける。

────教えてくれって言ったのは瑠璃さんだからな。

強めの接吻の大義名分を頭で思いながら、さらに抱き寄せると、瑠璃さんが力いっぱいぼくの胸を押してきた。

これくらいの力で押されたってびくともしないんだけど、何となく手を緩めてしまう。

・・・甘いよなぁ。いや、情けないと言うべきか。

自由の身になった瑠璃さんは胸に手を当てると

「・・・高彬・・・苦しいよ・・・」

大きく深呼吸をしながら言った。

「瑠璃さんがあんまりものわかりが悪いからだよ。・・・どんな身って、こんな身のことだよ」

少しは判ってくれたかと顔を覗きこむと、瑠璃さんは一瞬、ぽかんとして、パパパッと顔を赤らめた。

胸元に当てた瑠璃さんの小さな手が、何とはなしに色っぽくて、ぼくは大義名分を掲げて強めの接吻をしたことを少し後悔してしまった。

───自分で自分を煽ってどうするんだよ・・。

どんな身、の意味が判ったらしい瑠璃さんが何かに迷っているようにも見えて、ちらりと下心が顔を出す。

「それとも、瑠璃さんは・・・いいの?ここで・・・その・・・」

慎重に言葉を選ぶ。うかつなこと言うなよ。

「・・け、結婚しても」

何とかつかえつかえ言うと、瑠璃さんはさらに顔を真っ赤にして

「い、いやぁよ」

気持ち、唇を尖らせた。

その顔が誘っているように見えるのは、都合の良い解釈だろうな・・・やっぱり。

そう言い聞かせて、ぼくは文字通り、身を退いた。

「・・だろ。そう思って、ぼくだってイロイロ我慢してるんだから、瑠璃さんも我慢して局で寝ておくれよ」

これ以上、煽られたらまずい。

自信がない。

よっぽど局には戻りたくないのか、瑠璃さんは物言いたげな顔で俯いたまま、ちらりと上目遣いにぼくを見た。

頼むから、そういう目で見ないでくれ・・・。

「さぁ、戻って戻って」

これ以上、ここにいられたら堪らないと思い、強引に腕を掴み立たせると、瑠璃さんは顔をしかめ小さな声で

「わかったわよ。戻るわよ。そんなにきつく言うことないじゃない。・・・意地悪なんだから・・」

とぶつぶつ言いながら部屋を出て行った。

その後姿を見ながら、密かにため息をつく。

・・・意地悪してるのは、どっちだよ。







****************************************






瑠璃さんの気配がすっかりなくなったところで、ぼくは大江を呼びつけ、明日、朝一番に車の用意をするように言い付けた。

守弥が瑠璃さんと接触したことを考えると、<萩野>の正体がばれる前に一刻も早く三条邸に瑠璃さんを帰したほうが良いだろう。

融に言って車を寄越させるなんて、そんな悠長なことは言ってられない。

大江がいなくなったところで、ぼくはゴロンと横になった。

落ち着いて考えてみたら、愛人の話を持ちかける守弥も守弥なら、その話しに乗る瑠璃さんも瑠璃さんだよな。

やっぱり瑠璃さんは並みの姫じゃないってことなんだろう。

そういうとんでもないことをするかと思えば、妙にウブなところがあって、まぁ、そういうところも好きなところではあるんだけど・・・。

それにしても「ここで寝てく」だの「朝までいさせて」なんて言葉がさらっと出てくると言うことは、瑠璃さんはぼくのことを男として見ていないのではないだろうか。

ついこの間まで弟扱いだったし、その可能性は充分ある。

結婚を承諾してくれたし、接吻も受け入れてもらってはいるから、嫌われてるってわけではないだろうけど。

だからと言って、それが男として見てもらってる証にはならないし。

────ふぅ・・・

本日、何度目かのため息をついた。

瑠璃さんにも言われたけど、ぼくは女心なんてさっぱりだからな。

こういうことにやけに長けている人もいるけど、一体、どこで勉強するんだろうか。

ぼくのしてきた勉強なんて、漢籍とか弓術とか、そんなものばかりだったからなぁ・・・。

今後のことを中長期的に考えたら、やっぱり女心に疎いままっていうのはまずいだろうな、やっぱり。

誰かに教えを請いたいけれど、かと言ってこれぞ、と言う人物が思い浮かばない。

───皆、恋の手練手管に長けてはいるけれど、ぼくの思う<恋>とはどこか・・・違うようにも・・・思えるし・・・。

だんだんと瞼が重くなってきて、ぼくは目を閉じた。

───かと言って、ぼくの思う恋が・・どんなものか・・・は、よく・・・判らない・・けれ・・ど・・・

すぅっと眠りに引き込まれ、どれくらいの時間がたったのか、ふと何かの物音を聞いた気がして目が覚めた。

そのままの姿勢でぼんやりしていると、物音と思ったのは、こちらに向かっている足音だと判った。

急いでいるのか、若干、乱れているように聞こえる。

足音はあっと言う間にぼくの部屋の前まで来て止まり、横目で見ると、守弥が控えていた。

────お前の目論見なら、ぼくは今、萩野相手に取り組み中のはずじゃないか。来ていいのか。

そう皮肉のひとつでも言ってやろうと身体を起こしたところで、ぼくは口をつぐんだ。

いつも小面憎いほどの冷静沈着な守弥の顔が、どこか強ばっている。

何かあったな、とピンときた。






<続>

(←お礼画像&SS付きです)

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Secre

非公開さま(Nさま)

高彬バージョン、お楽しみいただいているようで私も嬉しいです!

ほんと、高彬は性格が良いと思います。
いい人ぶってない「いい人」。心が健康と言うか、そんなイメージありますよね。
瑠璃とはお似合いのカップルです!

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ヨッシーさま

> 自分の部屋で、夜だもんね。

完全「ホーム」状態ですもんね。しかも夜。雰囲気はバッチリですよね。
女心に疎い高彬、良いですよね~。私も大好きです。

みそさま

> トキメキポイント満載でした。(≧∇≦)

わ~、そうですか!それは嬉しいです。

> 理性をなくしたオトコ高彬は素敵☆

いつもいつも理性優先なんて魅力ないですもんね。

> 今回は別にしても、そんなことに気を遣ってたら守弥じゃないよ。(笑)

う~ん、確かに。高彬、いまひとつ守弥を判りきっていないのかも・・・。
やっぱり「お優しい」から?

高彬、自分で煽っちゃうなんてニヤニヤです。自分の部屋で、夜だもんね。好きな瑠璃さんの仕草でくらくらな高彬が、可愛いO(≧∇≦)O 瑠璃さんが、戸惑っているとちゃんと身を引く高彬に瑠璃さん、大切にされてるなとうらやましい。若いから、大変だったでしょうね。女心を勉強しなくて良いですよ。堅物で朴念仁な高彬が、大好きだもん(^^)v

今回もまた

トキメキポイント満載でした。(≧∇≦)
高彬ってば随分と瑠璃に翻弄されちゃってますもの。(それが高彬のイイトコロ♪)
強気と弱気、理性と欲情がせめぎ合っていて「若いっていいわぁ…」と、しみじみしちゃいました。
まあ、ウブで鈍感な瑠璃には少しくらい強引な方がいいんでしょうけど。(理性をなくしたオトコ高彬は素敵☆)
でも「ここぞ」ってときに理性が勝ってチャンスを逃す、高彬が大好きです!!(「おあずけ」が高彬の代名詞☆)

それにしても『お前の目論見なら、ぼくは今、萩野相手に取り組み中のはずじゃないか。来ていいのか』って高彬…。
今回は別にしても、そんなことに気を遣ってたら守弥じゃないよ。(笑)
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