*** 筒井筒のお約束をもう一度・・8<高彬・初夜編> ***

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』



           ※このお話は初夜編(完結済み)の高彬サイドの話です。
                        






***  筒井筒のお約束をもう一度・・8<高彬・初夜編> *** 









まったく、本当に守弥は・・・。

せっかく瑠璃さんといい雰囲気だったと言うのに。

ちらりと瑠璃さんを見ると、よほど守弥の振る舞いが驚きだったのか、まだびっくりしたような顔で外の様子を窺っているようで、ぼくは気付かれないように小さくため息をついた。

これをどう、さっきのいい雰囲気に持っていけって言うんだよ。

「さっきの続きをしよう」とあけすけに言うわけにはいかないし、もちろん強引に抱き寄せるなんてこと出来っこないし。

ちくしょう、守弥のやつめ。

瑠璃さんとぼくの部屋で二人きりになるなんて、この先、二度とないぞ・・・

と、そこまで考えて、ふいに思い出した。

───そういえば前にもあったな、瑠璃さんがぼくの部屋に現れたことが。

本当、瑠璃さんは変わってないんだなぁ。

そう思ったらおかしくなってきて、思わず笑うと

「どうしたの?」

振り向いた瑠璃さんが怪訝そうに聞いてきた。

「童の頃にも、こうして瑠璃さんが急に現れたことがあったなぁと思ってさ。ほんと、瑠璃さんにはいつも驚かされるよ」

顔を覗き込みながら言うと、瑠璃さんはぷぅと頬を膨らませた。

その顔がうっすらと赤い。

「・・・悪かったわね」

・・・照れてるぞ。

バツが悪いとき、瑠璃さんはよくこういう顔をするんだ。

ほんと、可愛いなぁ。

ぼくはさらに瑠璃さんの顔を覗きこんだ。

「瑠璃さんの、そういう突飛なことをするところが、たまらなく・・・可愛いんだ」

思わず本音が出てしまい、呼応するかのように手元の扇がはらりと開いた。

「瑠璃さん」

小声で名前を呼ぶと、ぼくは瑠璃さんにそっと接吻をした。

瑠璃さんの唇はやっぱり柔らかくて、それはどこまでも探求したくなるような類のもので、正直、クセになりそうなほど───気持ちいい。

こんなことしてたら、ぼくは今よりもっと瑠璃さんに夢中になってしまうんじゃないか・・・・

「・・・・ん」

瑠璃さんが気持ち、逃げるように身体を引いたので、ぼくは慌てて唇を離した。

「ご、ごめん・・」

ちょっと・・・長すぎた・・かな。

「ごめん」

もう一度、謝ると、瑠璃さんは俯きながら頭を振った。

「別に・・・怒っちゃいないわよ」

「・・・そうか」

良かった。

少し沈黙が流れ、何と声を掛けようかとあれこれ考えていたら、ふいに瑠璃さんが顔をあげた。

「そういえば、この間の人、大丈夫?」

この間の人、とは、もちろん権少将のことだろう。

「大丈夫って?」

「何か言われたりしてないの。高彬より上の人なんでしょ」

こういうところに気を回してくれるところが、瑠璃さんのいいとこなんだよな。

もちろん、瑠璃さんは姉気分で言ってるだけなんだろうけど。

「別に問題ないよ。うまくやってるさ」

まだ口も聞いてないなんてこと、わざわざ瑠璃さんの耳に入れることはないだろう。

そう、良かった・・・なんて頷く瑠璃さんの後方の文机に、無造作に置かれたままになっている「古今和歌集」があることに気付き、ぼくはもう少しで声をあげそうになってしまった。

まさか瑠璃さんが来るなんて思ってもみなかったから、隠すのを忘れていた・・。

瑠璃さんがどうか気付きませんように、と思ったぼくの念が通じたのか、瑠璃さんは「さ、もう帰ろうかな」と言いながら立ち上がった。

こうして瑠璃さんと二人でいたい気持ちはやまやまだけど、「古今和歌集」が見つかったりしたら目も当てられないし、何よりも家人に瑠璃さんの姿を見られるのは非常にまずい。

ここは早めに帰ってもらうしかないわけで、ぼくもすぐに立ち上がった。

妻戸に手をかけたところで振り向くと、思ってたよりも近くに瑠璃さんがいて、さっきの唇の余韻がふいにがよみがえってきてしまった。

───こんなチャンス、滅多にないぞ。

───明日から方違えで、しばらく瑠璃さんに会えないんだぞ。

無心で立っている瑠璃さんに目を合わせ、次の行動に出ようとしたところで

「なあに、開かないの」

突然、瑠璃さんに言われ、ぼくは固まった。

あぁ、くそっ、タイミングがずれた・・。ほんと、鈍くさいな・・・

「どうしたの」

怪訝そうに顔を覗きこまれ、心の中で肩をすくめた。

まだまだ、だ。

これは「古今和歌集」読む以外にも、他にも勉強が必要ってことなんだろうな。

動き出した牛車を見送りながら、この先頑張らなきゃいけない諸々の事案を思い浮かべ、ぼくは密かにため息をついたのだった。







<続>





(←お礼画像&SS付きです)

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Secre

非公開さま(Kさま)

Kさん、こんにちは。

確かに小さい頃から染みこんでいるのかも知れませんね。
ず~っと好きだったんですものね。恋する少年です。

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こももさま

こももさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

そしてアメブロの方もありがとうございます。
いいね、してくださった方ですよね。ありがとうございます。

> このあと、記憶を失った瑠璃さんに泣く高彬が出てくるかと思うと、
> それがもう楽しみでたまらない〜(≧∇≦)←オニ⁇

そこに行き着くのは、もう少し先になりそうですね。
その前にいくつかの「おあずけ」もありますし(笑)

初コメです

はじめまして、こももと申します。
こちらにはずいぶん前からお邪魔してましたが、
コメントを残すのは初めてです。
あ、アメブロの方も読んでますよ〜( ´ ▽ ` )ノ


初々しくて瑠璃さんにベタ惚れな高彬、カワイイです♡
最近テレビでよく見る羽生くんが、高彬に見えて仕方ありません(^_^;)

このあと、記憶を失った瑠璃さんに泣く高彬が出てくるかと思うと、
それがもう楽しみでたまらない〜(≧∇≦)←オニ⁇

続きも楽しみにしてますね♪




みそさま

> でも案外、強引にいっても瑠璃は嫌がらないんじゃないかしら。
> 恥ずかしがったりはするだろうけど…。

そうですよね、女の子って待ってたりしますからね。(なんかそういう歌があったような?)

> これをきっかけに、高彬はあんなコトやこんなコトに勉強熱心になるですね~。(笑)

なんといっても有能ですからね。
目標が定まったら習得するまでが早いんです!
まさしくYDT。(やれば出来る高彬)


cookiemomさま

> 高彬はこんなことを考えていたんですね!

そうなんです。瑠璃から見たら落ち着いて見えたとしても、内心はあわあわしてたんですね(笑)

> 連載の間隔が短くて本当にうれしいです。次回も楽しみにしています。

なんとかこのペースで最後まで行けたらいいのですが!がんばりますね。

非公開さま(Nさま)

高彬も頭の中でぐるぐる考えていたんですねぇ・・・。
お得感あってよかったです(笑)

あぁ、もうっ、高彬が可愛くて溜まりません。
まだまだ男の子って感じがします~。

『「さっきの続きをしよう」とあけすけに言うわけにはいかないし、もちろん強引に抱き寄せるなんてこと出来っこないし』なんて考える辺り、初々しさが漂っておりますね~。(≧∇≦)
(この先の高彬を知っているだけに尚更そう感じてしまいます)
でも案外、強引にいっても瑠璃は嫌がらないんじゃないかしら。
恥ずかしがったりはするだろうけど…。

『この先頑張らなきゃいけない諸々の事案を思い浮かべ』に思わずニヤリとしてしまいました。
これをきっかけに、高彬はあんなコトやこんなコトに勉強熱心になるですね~。(笑)
これからどんどん成長していく高彬が楽しみです。

No title

高彬はこんなことを考えていたんですね!

連載の間隔が短くて本当にうれしいです。次回も楽しみにしています。

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