*** 筒井筒のお約束をもう一度・・6<高彬・初夜編> ***

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』



           ※このお話は初夜編(完結済み)の高彬サイドの話です。
                        






***  筒井筒のお約束をもう一度・・6<高彬・初夜編> *** 










吹き込んでくる風に、朝方まで降っていた雨の気配と新緑の匂いが混ざっているようで、ぼくはふと顔を上げて庭に目をやった。

ついさっき瑠璃さんの部屋から見えた木々の葉っぱは、雨に洗われて青々と光っていた。

ここから見える葉っぱも同じように光っていて、瑠璃さんちに降った雨と同じ雨が、ぼくの庭にも降ったと言うことが何だか嬉しい。

こんなこと瑠璃さんに言ったら

「こんなに近いんだから、同じ時間に雨が降るのは当たり前でしょ」

なんて呆れられるかもしれないけど。

あの日から、つまりは瑠璃さんに結婚の承諾を得た日から、いや、もっとはっきり言うと初めて接吻をした時から、前にも増して瑠璃さんのことばかりを考えてるような気がする。

牛車に揺られながら、馬上で風に吹かれながら、はたまた内裏の竹を眺めながら・・・。

朝、目が覚めた途端、やけに嬉しくて、なんでこんなに嬉しいのか一瞬わからず

(そうか、瑠璃さんと結婚するんだった)

と、その都度、新鮮に思い出してみたり。

仕事も武術も、もっと頑張らなきゃって思うし、実際、かなり身を入れて頑張ってるつもりだ。

まったく瑠璃さんの影響力はすごいよなぁ。

影響力と言えば、あの日以来、権少将とは口を聞いていない。

あの日の翌日は、参内を取り止めたようで顔を見なかったけど、次の日は出仕してたから、ぼくは後で声を掛けようと思っていた。

いきさつはどうであれ、表面上はうまくやって行った方がいいし、とりあえずはぼくの方が年下なんだから、あのことには触れずに、顔を立てながらでも友好ムードを作っておこうと思ったのだ。

権少将が一人になった時を見計らって近づいて行くと、ぼくを認めた途端、スッと身体をかわしどこかへ行ってしまった。

一瞬、目が合って、その瞬間で、とてものこと<友好ムード>は無理そうだな、とわかった。

何と言うか、権少将からはあからさまな敵意と反感が発せられていて、また、ぼく自身も権少将の顔を見たら

(こいつが瑠璃さんをもう少しで・・・)

と苦々しく思ってしまって、少し収まったはずの怒りがまた新たに湧き上がってしまったのだ。

それにあの時、権少将がぼくに向かって言った言葉。

───こんなところで何をしている、衛門佐。

この言葉には、自分の方は官位が上だと言う優越感の他に、言外に「お前の出る幕じゃない」と言う牽制があったように思う。

確かに官位だけで言ったら、権少将の方が瑠璃さんにはふさわしいのかもしれないけど、そんなことだけでおめおめと引っ込むわけないじゃないか。

あからさまに敵対するようなことはしないけど、でも、ぼくだって男だ。

仕事できっちりと結果を出してやる。

それにはやっぱりこれから先、もっと色々と頑張らなきゃいけないよなぁ。

ふと瑠璃さんの顔が浮かび、さっきしそびれた接吻を思い出して、ぼくは知らずにため息をついた。

あそこで小萩が現れなければ、あのまま瑠璃さんと・・・・

「───若君」

ふいに声を掛けられて顔を上げると、いつのまにいたのか守弥が控えていた。

「何かお考えごとですか」

「別に・・・」

ぼくは曖昧に答えた。

「でしたら、二の姫に文など書かれてはいかがですか」

丁寧だけど、押し付けがましい口調にぼくはうんざりしてそっぽを向いた。

「前に書くつもりはないと言っただろう。何度も同じこと言うなよ」

まったく守弥はしつこいんだよな。

前からそうだけど、ここのことろ守弥の干渉がひどいのだ。

ぼくの行動をいちいち気にかけているようで、瑠璃さんの部屋で宿直して朝方に帰った時も、どこに行っていたのか何をしていたのかをしつこく聞きたがった。

ぼくもまだ気が昂ぶってたし、守弥に言うようなことじゃなかったから適当にごまかしたけど、童の頃ならともかく、最近では少しばかり守弥のことが煩わしい。

「若君から文が届けば、二の姫もきっとお喜びになると思いますが」

ぼくが書かないと言っているそばから、前にも言ったようなことを繰り返し言ってくる。

よっぽど瑠璃さんと結婚することを言ってやろうかと思ったけど、まだ父上たちにも報告していないことを守弥に言うわけにはいかない。

きっと猛反対するだろうしな。

何と言って追い払おうかと思案していると、衣擦れの音がして女房が一人やってきた。

「三条の融君から文が届いております」

掲げ持ってきた文を受け取り、さっと目を通してぼくは首をひねった。

『姉さんのことで折り入って話があるから、今日の夕刻伺います。誰にも知られたくないので庭先まで車を入れます。人払いもしておいてください』

瑠璃さんのことで話────?

さっき会った時には何も言ってなかったけど、人払いするほどの話ってなんだろうか・・・。

にわかに胸騒ぎがしてきて、ぼくは女房に「呼ぶまで誰も近づけるな」と厳命し、もちろん守弥も退がらせた。







<続>


(←お礼画像&SS付きです)

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Secre

非公開さま(Kさま)

おはようございます。

あー、そうですよねぇ。恋してる時の「がんばる」ベクトルが男と女じゃ違うんでしょうね。
高彬なんて責任感強いし、余計に「仕事頑張る=社会的にも瑠璃を守る」って方に向くのかもしれませんね。

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ヨッシーさま

> 瑠璃さんの影響力凄い♪

恋の力は絶大ですからね!(笑)

>二人して、接吻が後少しでできたのにって思う所ぐふふでしたよ。

二人して同じこと考えて・・・・可愛いですよね。

No title

瑠璃さんの影響力凄い♪ 益々仕事頑張るだろうけど、寂しい思いさせちゃ駄目だよ。瑠璃さんにメロメロな高彬に悶えましたよ。二人して、接吻が後少しでできたのにって思う所ぐふふでしたよ。初々しい二人が好きです\(^o^)/
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