***短編*** ため息の時間 ***

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』






             注)このお話は一話完結です。
               
             <R*15です。閲覧ご注意ください> 






***短編*** ため息の時間 ***














人生、一瞬先は闇・・・いや、違うな。

昨日の友は、今日の敵。

うん、これが近いかも知れないなぁ・・・。

そんなことを考えながら、前に座る人物を見た。

───── ぼくの前には不機嫌そうな顔をした、我が妻、瑠璃さんの姿がある。






*********************************************************








コトの起こりは、久しぶりに融と一緒に帰宅したことだった。

部屋に入ったぼくら二人を迎えた瑠璃さんは、上機嫌のように見えた。

それをあの馬鹿が

『高彬が、姉さんより美人な女官がいるってさっき言ってたよ』

なんてことうを言ったせいで雲行きが怪しくなってしまったんだ。

確かに宮廷でそんな話はした。

だけど、ぼくはそういう意味で言ったわけじゃないぞ。

<確かにあの女官は瑠璃さんより美人かも知れないけど、それがどうしたと言うのだ>と言う意味の発言をしたんだ。

ニュアンスが全く違うじゃないか。

それを融のやつ、あんな風に言いやがって。

部屋を出て行くときもぼくに舌を出していたし、きっとわざとに違いない。

くそっ、融のやつ。覚えてろよ。

「・・・あのさ、瑠璃さん」

「何よ」

慎重に切り出したぼくの言葉に、取り付く島もないような瑠璃さんのそっけない言葉が返ってきて、ぼくは内心、がっくりと肩を落とした。

瑠璃さんはさっき

『誤解しないでくれ。ぼくの話を聞いて』

と言ったぼくに

『聞くわよ、言いなさいよ』

と言ったのだけれど、瑠璃さんのこの「聞くわよ、言いなさいよ」は要注意で、案外、聞く気もないくらい腹を立ててるときに使うことがあって、どうやら今回はそっちの方みたいだ。

相変わらずムクれ顔の瑠璃さんを見て、腹をくくった。

「瑠璃さん。ごめん」

ぼくは頭を下げた。

こういうときは四の五の言わずに謝るしかない。

いきさつはどうであれ、瑠璃さんが腹をたてていることは事実なのだから。

「ごめん」

瑠璃さんがぼくを見てる気配を感じて、さらにもう一段、頭を下げた。

しばらく沈黙が流れ、と思ったら、ふいに瑠璃さんの含み笑いが聞こえてきた。

顔を上げると、瑠璃さんは袖で口元を押さえ、笑いを堪えている。

事態が飲み込めずにポカンとしていると

「ふふふ、馬鹿ね。あんなことで、あたしが本気で怒るわけないじゃない」

瑠璃さんはおかしそうに言った。

「え、あんなことって・・・」

そういうと瑠璃さんははらりと扇を広げ

「あんたがあんまりオロオロしてるから、怒ったふりしてからかっただけよ」

楽しそうにぼくの顔を扇いでみせた。

「あたしより美人の人なんて世の中にたくさんいるに決まってるじゃない」

そう言って瑠璃さんは笑い出し、その屈託のない笑顔にぼくはしばし見入ってしまった。

だって<あたしより美人はたくさんいる>と笑った瑠璃さんは、ぼくには誰よりも美人に見えたから。

「笑いすぎて喉渇いちゃった・・・」

小さく呟いた瑠璃さんは、そばにあった白湯を口にして、飲み込んだときに上下した白い喉にぼくはちょっとだけぞくりとした。

────── 思えば、どうしてぼくはこんなに瑠璃さんに惹かれているんだろう。

まじまじと瑠璃さんを見ていると、それに気が付いた瑠璃さんは

「何よ、さっきから二人してあたしの顔、じろじろ見て」

怪訝そうに聞いてきた。

二人と言うのは、融のことだろう。さっき、融も瑠璃さんのこと見てたから。

確かに、世の中に美人は多いし、融の言い草じゃないけれど、瑠璃さんはおしとやかさとはほど遠い人だ。

だけど、ぼくはやっぱり瑠璃さんじゃなきゃだめなんだよなぁ。

本当にどうして、瑠璃さんにだけ惹かれるんだろう。

ぼくはじりじりと瑠璃さんに近づき、そっと首筋に顔を寄せて匂いをかいでみた。

匂いが好きなのかなぁ。

髪を梳いてみる。

しっとりと艶のある髪は、指に絡めてみると程よくなじんでくる。

うん、ぼく好みの髪だ。

「・・・どうしたの、高彬」

ぼくのしてることを不思議に思ったのか、瑠璃さんがまたしても怪訝そうな声で聞いてきた。

返事の代わりに小さく笑い、ぼくは瑠璃さんの小さい顔を両手で包むとこちらを向かせた。

驚いたような顔をしている瑠璃さんの眉を指先でそっとなぞってみる。

額、鼻筋、頬、唇・・・柔らかく指先でたどりながら、ぼくは小さなため息をついた。

────── 完敗だ。

全てがぼく好みで、どう抗ったって、瑠璃さんに惹かれてしまうのはもう仕方のないことなんだと思える。

至近距離で瑠璃さんを見つめていると、ぼくの視線に耐えられなくなったのか、瑠璃さんがふいに目を伏せ、ぼくはその睫の先にさえ目を奪われてしまった。

顔を上げさせ、そのまま接吻をする。

唇を堪能して、額、瞼、頬に軽く接吻をし、また唇へと戻る。

少し満足して顔を離すと、恥ずかしそうに頬を染めている瑠璃さんの顔があった。

「・・どうしたのよ・・急に・・・」

もごもごと言い、目を伏せている。

「急ってわけじゃ・・ないけど」

まさか、どうして瑠璃さんを好きなのかを検証していた、とは言えなくて、ぼくも口ごもりながら言うと、ちらりと視線が絡み合って、二人同時に小さく笑った。

「瑠璃さん」

「高彬・・・」

指先を絡めあう。

真正面から見た瑠璃さんは、やっぱり可愛くて

「ぼくは、瑠璃さんの顔が一番好きだから」

そんな言葉が素直に出てきた。

一瞬、びっくりしたような顔をした瑠璃さんは、それでも

「・・・ありがと・・」

聞き取れないほどの小さな声でお礼を言い

「あたしも・・・好きよ。高彬のことが・・」

はにかむように言った。

ぐらりと理性が飛びそうになったところを、大きく息を吐いて取り戻し、けれども衝動に忠実にぼくは瑠璃さんを抱き上げて几帳を回り寝所へと運んだ。

そっと下ろし、瑠璃さんを上から見つめる。

接吻をしながら、単の合わせに手を滑り込ませると

「・・・高彬。もう少し暗くして」

瑠璃さんが身をよじるようにして言い、一瞬、考えたぼくは、それでも瑠璃さんの願い通り、灯台の火を小さくしてやった。

検証は、手探りと感触でも出来るしな・・・。

心で思い、小さく笑うと

「何か言った?高彬」

瑠璃さんに聞かれ

「何も言ってないさ」

額に接吻をする。

「でも、今、笑ってたわ」

瑠璃さんは、拗ねたように唇を尖らせてみせた。

「後で教えてあげるから」

それだけ言って、後は話は無用とばかりに接吻で口を封じ、瑠璃さんの身体に手を這わせた。

囁き声と甘い吐息だけが部屋に溢れだし、やがて瑠璃さんの吐息がせつなげになるにつれ、ぼくの検証も不確かなものとなっていき─────── 。

「瑠璃さん・・・」

まだ息の上がったままの状態で瑠璃さんの額に接吻をすると、瑠璃さんは目を閉じたまま小さなため息をついた。

夢の中にいるような、うっとりとした顔だった。

瑠璃さんは、ため息も横顔も本当に綺麗だな・・・。

閉じられた瞼に、頬に、耳に接吻をしていくと、瑠璃さんはくすぐったそうに首をすくめ、そのままぼくの身体に甘えるように身を寄せてきた。

裸の瑠璃さんを抱きしめながら、ふと、検証が不確かなままだったことを思いだした。

────── 今なら、少しは落ち着いて検証が出来るだろう。

そう判断したぼくは、驚く瑠璃さんの口を封じ、そうして再び甘いため息を引きだすことに成功したのだった。

ただひとつ惜しむらくは、またしても途中で検証が不確かに終わってしまったことなのだが・・・。

まぁ、いいさ。何度でもチャンスはあるんだ。

時間をかけて、おいおい検証していけばいい。

安心しきった顔をして眠る瑠璃さんに接吻をすると、瑠璃さんは無意識にか、ぼくの首に両腕を回してきた。

さすがにこの体勢で寝るのはちょっと辛い。

そっと腕を外そうとして見ても、思いのほか強い力で抱きつかれており、少し力を入れて外そうとしたら、イヤイヤと駄々をこねるように瑠璃さんが首を振った。

───── 仕方ない、このまま寝るとするか。

この甘えん坊め。

腕を外すことを諦めたぼくは、幸せのため息を、ひとつ付いたのだった。









                 <終>
 





~あとがき~


ここまでどっぷりと<甘々・らぶらぶ>を書いたのは、久しぶりのような気がします。

そして、やっぱり甘い話は書いてて楽しく、気のせいか免疫力までアップしたような気がします!

風邪もインフルエンザもどんと来い!返り討ちにしてくれるわ!と言った気分です。

2人が仲良しなのは本当に本当に嬉しいです。







気のせいか免疫力がアップしたような気がする方、もしくは高彬に「この甘えん坊め」と言って欲しい方、もしくはその両方にあてはまるという方は、クリックを~。
   ↓   
(←お礼画像&SS付きです)

コメントの投稿

Secre

maiさま

> すいません、気を失ってました…。

しっかり!(笑)

> 「この甘えん坊め」一丁(?)お願いします!

喜んで!(居酒屋風に)

もちろん、maiさんのテレパシー届いてましたよ。

非公開さま

お久しぶりです!コメントありがとうございます。
(後ほど、メール送らさせていただきますね)

ヨッシーさま

>でも、高彬がもっと甘えん坊だと思いました(^_^)v

おっしゃる通りですねぇ。
結局、この二人は甘えあってるんでしょうね。素敵!

はああ…(こっちがため息)

すいません、気を失ってました…。ちょっとヤバすぎるううう(再び悶絶)

「この甘えん坊め」一丁(?)お願いします!

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

No title

高彬が、腕を外そうとした時、無意識にイヤイヤとした瑠璃さん可愛い。甘え上手
と思いました。高彬の甘えん坊めって、言われたいな。でも、高彬がもっと甘えん坊だと思いました(^_^)v

cookiemomさま

> でも、甘ーい二人に虫歯の予感がします…(´艸`)

あー、確かに!
どうしましょうね・・・

甘々ですね!

瑞月様のおかげでインフルエンザどんとこいです!
でも、甘ーい二人に虫歯の予感がします…(´艸`)

ぺんぺんさま

> 自分の好きな人が、高彬のように自分の全てを好きでいてくれるってホント幸せだと思います。

本当にそうですよねぇ。条件なしで「全て」が好きなんて素敵です。

> おかげで体調は復活しました(笑)。

良かったですね!
でも油断しないでくださいね。おかしいな、と思ったら、まずはうがいですよ。
そして一枚、多めに着込んで、身体の温まるもの食べてくださいね!

あったまりました~(*^^*)

二人のらぶらぶっぷりにあったまりました~(*^^*)
自分の好きな人が、高彬のように自分の全てを好きでいてくれるってホント幸せだと思います。
おかげで体調は復活しました(笑)。ありがとうございまーす(o^-^o)

ラムティさま

> そして何より高彬の『この甘えん坊め』がたまりませんっ!!

ラムティさんにビックリマーク2つもいただけて、嬉しいです!
いつかは5つくらいもらえるような、らぶらぶ話を書けるようにがんばりま~す。

くまくまぽんさま

> でも、高彬にとっては、瑠璃こそ運命の人なんだよなあ…
> あきらめよう、と思います^_^;

「なんとしてでも右近少将さまの愛人の座を!」と野心に燃えていた煌姫に
聞かせてやりたいセリフです・・・(笑)

甘々、楽しんでいただけたようでよかったです!

ラブラブあまあまたまりません!
そして何より高彬の『この甘えん坊め』がたまりませんっ!!

瑠璃の全てが好みなんて高彬、幸せ者ですね~♪
瑠璃もこんなに想われて幸せ者だ~

No title

またラブラブな甘々なお話ありがとうございます!^ - ^
私も高彬に怒られたいです(爆)
瑠璃がうらやましくて仕方ありません。
でも、高彬にとっては、瑠璃こそ運命の人なんだよなあ…
あきらめよう、と思います^_^;

みそさま

> 首筋をフンフンする高彬…。

犬?(笑)

> あまりの甘ラブに寒さが緩和された気がします。

良かったです~。
甘ラブは究極のエコってことですね!温暖化対策に甘ラブを!(笑)

首筋をフンフンする高彬…。
好きです。(笑)

高彬視点だと、瑠璃がもう可愛くて可愛くて本当に「この甘えん坊め」とデレデレしてしまいますね。

あまりの甘ラブに寒さが緩和された気がします。
ありがとうございます。

うどんさま

> あとがき、思わず吹き出してしまいました〜。
> はい、言って欲しいです!

クリックするとね、高彬の「この甘えん坊め」って言う音声が流れるんですよ。
え?流れなかった?
おかしいですねぇ・・・(笑)


あとがき、思わず吹き出してしまいました〜。
はい、言って欲しいです!

やっぱりラブラブはいいですね♡
プロフィール

瑞月

Author:瑞月
瑞月(みずき)です。

ランキングバナー

  ↑
ランキングに参加しています。
楽しんでいただけましたら
クリックで応援をお願い致します。
1日1クリック有効です。
初めにお読みください
**当ブログの簡単な説明です**
当ブログは「なんて素敵にジャパネスク」の二次小説を掲載しております。 二次小説と言う言葉を知らない方や苦手な方は閲覧ご注意ください。 また読後のクレームはお受けできません。 「ごあいさつ<最初にお読みください>」も合わせてご一読下さい。
カテゴリ
別館
乳姉妹ブログ
日記ブログ
掲示板
最新記事
ご訪問ありがとう(H23.11.28-)
**オンラインカウンター**
現在の閲覧者数:
コメントありがとうございます
なんて素敵にサイト様 (ジャパネスク)
なんて素敵にサイト様(他ジャンル)
お礼SSや「他己紹介」があります。
web拍手 by FC2
** あれこれ投票所 **
お好きなジャンルをお選びください。 投票は何度でも可能です。
*** あれこれ投票所2 ***
メールフォーム(ご用の方はこちらから)

名前:
メール:
件名:
本文:

カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
月別アーカイブ