**現代編***  Boys, be ambitious ! ***

『なんて素敵にジャパネスク~二次小説*現代編』




注)このお話は現代編です。
時は現代、二人は大学生!
『Boy meets Girl !』の続編です。
「妄想もここに極まれり」のスペシャル・バージョンです。
どんな妄想もウェルカム!な方は、スクロールしてどうぞご覧ください。  
             




          ***********************************************








Boys, be ambitious !







「兄ちゃんちって、すっげー金持ちなんだなー!」

「ねぇ、お姉さん。お部屋、見てきていい?」

「ベランダ、広ーい!お花もきれーい!」

「軽井沢みたいなイスがある!」

「ソファもふっかふかー!」

ついさっき家にやってきたばかりの子どもたちは、玄関で靴を脱ぐやいなやリビングに走りこんできた。

良く晴れた、気持ちの良い5月の昼下がり。

GW最終日の今日、顔なじみの小学生たちが遊びに来たのだ。

遊びに、と言うか、押しかけて来たって感じだけれど。

瑠璃さんは子どもたちに手を引かれ、ベランダに出たり、ソファに座らされたりしている。

「お姉さんの指輪、すっごくきれい」

瑠璃さんの左手の薬指の指輪に目を留めた子どもの一人が声を上げると、皆が瑠璃さんの指を覗き込んだ。

「やっぱ、兄ちゃんたちが結婚したって話は、本当なんだなぁ・・・」

一人の子が呟くと、皆もいっせいに頷き

「やっぱり本当は付き合ってたんでしょ。お姉さんたら『ただの幼馴染よ』なんてウソついて!」

女の子に肘でつつかれた瑠璃さんは

「ウソじゃないのよ!本当にあの時は『ただの幼馴染』だったんだから」

ムキになって反論している。

「ふぅん・・・。じゃあ幼馴染から、いきなり結婚したの?なんだか、マンガや映画みたい・・・。そんなことってあるんだぁ・・」

納得がいかないのか、ぶつぶつと女の子が呟くと、瑠璃さんは意味ありげにぼくを見た。

瑠璃さんの言いたいことはわかってる。

卒業式の前日にプロポーズしたぼくは、翌日には瑠璃さんのお父上に結婚の承諾を取り付け、5日後の大安吉日を待って入籍し、その10日後には、この新築のマンションで瑠璃さんと暮らし始めていたのだから。

まさに電光石火の早業、周りは唖然としていたし、何よりも瑠璃さんが呆れていた。

まぁ、ぼくも少しばかりコトを急きすぎた・・・とは思っている。

だけど、あんなことされたら、そりゃ張り切るだろう。

あんなこと、というのは、プロポーズの翌日、つまりは卒業式の日のことだ。

朝、いつものように迎えに行くと、門を出てきた瑠璃さんは、ぼくと目が合うとそっぽを向き、ふと見るとその顔が赤い。

何かがいつもと違う・・・とまじまじと瑠璃さんを見たぼくは「あ」と声をあげそうになった。

なぜなら、瑠璃さんはネックレスをしていて、そこには見慣れたボタンがぶら下がっていたからだ。

そのボタンこそ、何あろう、ぼくがプロポーズの時に瑠璃さんに差し出した、第2ボタンなのだ。

意地っ張りで、そのくせウブな瑠璃さんがそんなことをするなんて、きっとかなりの勇気がいっただろうし、不器用な瑠璃さんがチェーンにボタンを通してる姿を想像したら、ぼくは嬉しくなってしまった。

嬉しくなった勢いで瑠璃さんを抱き寄せたら、思いきり引っ叩かれてしまったけれど。

「記念すべき最後の登校の朝に、どうして引っ叩くかなぁ」

思わずぼやくと

「あんたの行いが悪いのよ」

つっけんどんな声で瑠璃さんが言い、そのままスタスタと歩き出す。

慌てて後を追いかけ横に並びながら

「両親には、昨夜のうちに瑠璃さんと結婚するって話、しといたから」

報告をすると

「えぇ?」

瑠璃さんが大きな声を出した。

「今日、瑠璃さんのお父上にご挨拶に伺うつもりでいる」

「あんた・・・本気なの?」

「当たり前だろ。って言うか、瑠璃さんだってそのつもりで、それ付けてくれてるんだろ」

ネックレスを指差すと、瑠璃さんはむぅとした顔で黙り込んだ。

返事のないのは承諾の意味だと解釈し、土手に上ったところで、そっと手をつないでみる。

びっくりして逃げようとする瑠璃さんの指先をつかみ、一本だけからめると、されるがままになっている。

そのまま黙って歩き、向うから人がやってくると、瑠璃さんはパッと手を離した。

気配がなくなったところで、また指先をからめ、二人黙って歩く。

そんなことを何度となく繰り返してる最中、ちらりと瑠璃さんを見下ろすと、瑠璃さんは少し伏し目がちに神妙な顔をしていた。

頬がほんのりと色づいて見えたのは、朝日のせいだろうか。

土手を下りるところで、ふいに瑠璃さんは手を離し、鞄を持ち替えた。

どうやら、もう手はつながないでくれ、と言うサインらしい。

ここからは人通りが増えるし、同じ学校の生徒も多い。

恥ずかしがり屋の瑠璃さんらしくて、ぼくは心の中で小さく笑った。

そうして学校に着いたら、また一騒動だった。

瑠璃さんが、意味ありげなボタンのネックレスをしているということは、瞬く間に校内に広まり、あれは生徒会長の代田のものだとか、いや、野球部主将の岡野のものに違いない、などの様々な憶測が飛び交い、厳かなはずの卒業式最中も、どこか皆、浮き足立っているようだった。

そのうち、ぼくと瑠璃さんが土手で抱き合っていたという目撃情報が飛び出し、いや、抱き合った後に長いことキスをしていただの、2人は家に帰らなかったのだという噂がまことしやかに流れ始めた。

ぼくらの学校は「男女交際」にはやたらとうるさい校則があったので、その噂を聞きつけた学年主任で生徒指導も兼任している先生が「ふしだらな行為があったのではないか」と色めき立ち、あわや、ぼくと瑠璃さんは生徒指導室に呼び出される一歩手前・・・までいったのだった。

だけど、融が

「姉さん?姉さんなら昨日は家にいたよ」

と証言したことで、ぼくらの「ふしだらな行為」の疑いは晴れたというわけなのだ。

真相を聞きたがる皆を煙に巻き、逃げるように学校を後にしたぼくは、その足で瑠璃さんの家に立ち寄り、式から先に帰ってきていたお父上に結婚の申し出をした。

「瑠璃さんと結婚したいと思っています。お許しいただけますか?」

作戦も何もあったもんじゃない、直球勝負で言ってみると

「そうか。よろしく頼んだよ」

と、何ともあっさりとお許しが出て、そうなるとかえってぼくの方が慌ててしまい

「あのぅ・・・本当にいいんですか?結婚ですよ。遊園地に行くんじゃないんですよ」

と念を押してしまったくらいだった。

お父上は

「わかっておる、わかっておる」

とニコニコと頷き

「この父の目論見通りだ・・・」

などと、訳のわからないことをぶつぶつと呟いて部屋を出て行かれた。

まぁ、何はともあれ最大の難関を突破したぼくは安堵のため息をつき、そこに話を聞きつけた融がやってきた。

「高彬、姉さんと結婚って本気か?ばっかだなぁ。大学行ったら、おまえだったら選り取りみどりだぞ。イロイロおいしい思いが出来るって言うのに、なんでいきなり姉さんなんかに決めるんだよ。少し遊んでイロイロ試してからでも遅くないって」

普段のおっとりした融からは想像もできないほどの早口でまくしたてる。

「第一な」

融は声をひそめた。

「おまえ、巨乳好きだろ。姉さん、胸ないぞ。大きめに見積もってもBくらいだぞ」

「うるさいわね!」

タイミング悪く入ってきた瑠璃さんに聞かれ、融はぶん殴られていた。

「いってぇ・・・」

頭をさすりながら融は退散し

「高彬、良く考えろよ!結婚は人生の墓場だって言うぞ!」

とドアを閉めながら、捨て台詞よろしく叫んでいった。

部屋に残された形になったぼくたちの間には、微妙な空気が流れ

「あのさ、瑠璃さん・・・」

声をかけると、ジロリと睨まれた。

「ふぅん、高彬って巨乳好きなの・・・」

身体の芯から凍えるような、冷たい声で瑠璃さんが言い

「い、いや、そういうわけじゃ・・・」

と言いつつ、Bくらいだと言う瑠璃さんの胸に目が行ってしまうと

「どこ見てんのよ!」

瑠璃さんがクッションを投げつけてきた。

「融の言うとおりよ。今なら間に合うわ。あんた好みの巨乳の人と結婚したら?」

仁王立ちで腰に手を当て言い放つ姿は、まるで不動明王のような恐ろしさで、ぼくは震え上がった。

「いや、瑠璃さん・・・違うんだ・・・」

「何が違うのよ」

またもやジロリと睨まれ身がすくんだけれど、それでも誤解だけは解いておこうと思い

「そりゃ、見る分には巨乳がいいけど、でも、実際、触るんだったら、手の平に収まるくらいの方が、ぼくは好きだし・・・」

誠心誠意そう言うと、誤解が解けるどころか、瑠璃さんはますます目を吊り上げ

「サイッテー!」

それだけ言うと、部屋を出て行ってしまった。

それからの2日間、瑠璃さんが口を聞いてくれないと言うハプニングはあったけど、それ以外は案外、順調にことが運び、4月からぼくらは新しい大学、新しい家と言う、文字通りの新生活を始めているというわけなのだ。

家事全般は、瑠璃さんちに古くからいる家政婦に通ってもらっているのだけど、休日は時々は2人で家事をやったりもしている。

こういう言い方はナンだけど、まぁ、ぼくも瑠璃さんも一般的に見れば恵まれた環境で育ったから、家事なんかしなくても済む生活をしてきたし、多分、これからもそういう生活が保障されているといえば、言えなくもない。

だけど、何事も経験しておいたほうが良いと思うし、本当のこと言って、瑠璃さんとだと何をしていても楽しいのだ。

2人で買い物に行ったり、大騒ぎしながらの料理も、どれもこれもが楽しい。

もちろん、2人とも本業は学生だから、しっかり勉強だってしている。

GW前半は瑠璃さんたっての希望でアンティークの家具や雑貨を扱う店に行ったり、ぼくの趣味でバイクのディーラーを覗いたりして過ごした。

後半はお互いの実家に顔を出したり、映画を見てからカフェに寄ったり、好天気に誘われて土手を散歩したりした。

子どもたちに声を掛けられたのは、そんな時だった。

「お姉さーん!」

遠くから呼びかける声に振り向くと、登下校中にいつも会っていた小学生の軍団が走りよってきた。

4月になりひとつ進級したせいか、皆、それぞれ少しだけ大人びたような気がして、ぼくは内心びっくりした。

子どもって少し見ないだけで、こんなに成長するものなんだな。

ぼくらが電撃結婚したことは近隣のニュースになっていたから(融が言うには、近隣どころではなかったらしいけど)当然、子どもたちも知っていて、あっと言う間にマンションに遊びに来る約束が出来上がってしまった。

子どもの日の5日は、家族と予定が入っている子が多いらしくて、遊びに来るのは6日、つまり今日となったのだ。

瑠璃さんは朝からケーキを買いに行ったり、ジュースを用意したり、と準備に余念がなく、子どもたちの来訪を楽しみにしていたけれど、ぼくはちょっと不満だった。

なぜなら・・・

「結婚したってことは、兄ちゃんたち、チューしたってことだよな」

一番の悪ガキ風の子が言うと、瑠璃さんはパパパっと顔を赤らめた。

ぼくが口を開くより早く

「赤ちゃんはいつ来るの?神様には、もうお願いしたの?」

最年少の女の子が目を輝かせて聞いてくる。

「赤ちゃん?」

少し学年が上の子が聞き返すと、最年少の子は

「うん!だって、結婚して、神様にお願いしたら赤ちゃんがやってくるってママが言ってたもん!」

手を打ち付けて言う。

少し上の子は、困ったように笑うと、救いを求めるように瑠璃さんを見た。

「ミナちゃん。うちは、あたしも高彬も大学生でしょう?だから、まだ神様にお願いしていないの。赤ちゃんはまだよ」

瑠璃さんが優しく言い聞かせるように説明すると、ミナと呼ばれた女の子は「ふぅん、そっかぁ」と素直に頷いた。

やれやれ、きわどい話もうまくかわせたな・・・・と安堵していると

「バッカだなぁ、ミナは。神様にお願いして赤ちゃんがやってくるわけないじゃないか」

と、悪ガキ風の子が、話を蒸し返してきた。

「コービしなきゃ赤ちゃんはできないんだぜ」

「コービ・・・?」

「ケンちゃん!」

年長の女の子が咎める。

おいおい、ケンタか?ケンイチか?・・・何を言い出すんだ。

そういうデリケートな、核心にせまるような話をするんじゃない。

ぼくはちらりと瑠璃さんに目をやった。

瑠璃さんはニコニコと笑いながら子どもたちの話を聞いている。

「ケーキでも、食べる?」

なんて隣の子に聞いて、席をたつとキッチンに向かった。

その後姿を見ながら、ぼくは子どもたちに気付かれないように小さくため息をついた。

何を隠そう、ぼくと瑠璃さんは、子どもたちの表現を借りるならば、まだチューもしていないのだ。

プロポーズからこっち、何かと忙しかったと言うのもあるし、ついこの間まで正真正銘「ただの幼馴染」だったわけだから、急にそういうムードに持っていくのは、なかなか難しいのだ。

ぼくとしてはこのGWに勝負をかけていて、今日あたり狙いを定めていたのだけど、こいつら・・・あ、いや、この子たちのせいで台無しになってしまったのだ。

ケーキを食べたら、さっさと帰ってくれないかなぁ・・・などと思っていたら、願いが通じたのか、子どもの一人が

「明日から学校だから、ママに早く帰って来なさいって言われてるの」

と言い出し、それを潮に皆が帰ることになった。

玄関で

「お姉さん、また遊びに来てもいい?」

「お兄さんに勉強、教えてもらいたーい」

「オレは姉ちゃんがいいな」

などと口々に言い、瑠璃さんは

「いいわよ。ただし、ちゃんとおうちの人に言ってこなきゃだめよ」

子どもたちに約束をさせている。

「お邪魔しましたー!」

声を揃えて挨拶をするとバタンとドアが閉まり、部屋の中は急に静かになった。

「静かになっちゃったわね。音楽でもかける?」

リビングに戻りながら瑠璃さんが言い

「あ、うん・・。そうだね」

返事をしながらも、ぼくは、さてどんな風に流れを変えようか・・・・と考えていた。

まずはチューだよなぁ・・・。

と考えて、ふと、さっき感じた妙な違和感を思い出した。

子どもに「チューしたんだよね」と言われて、瑠璃さんは顔を赤らめていた。

それはいかにも恥ずかしがり屋の瑠璃さんらしい反応で、なのにどうして「コービ」と聞いて、ニコニコとしていたんだろうか・・・。

ちらり、と悪い予感が頭をかすめる。

まさか、な。

いくらなんでも・・・。

いや、待てよ、前にこんなことがあった。

あれは確か、瑠璃さんが中2くらいの頃だ。

下校中、道端にそういう類のホンが散乱していることがあった。

ご丁寧にも、かなりロコツな写真のページが開かれていて、それを見た瑠璃さんは、さっさと通り過ぎようとしたぼくに向かって

「ねぇ、高彬。この人たち、裸で何やってるのかしら?寒くないのかしら?」

と大声で聞いてきたのだ。

道行く人にはニヤニヤされるし、瑠璃さんはしつこく聞いてくるしで、あの時は本当に参ってしまった。

それにそうだ、こんなこともあった。

あれは高2の1学期の終わりごろ、夏休みに入る前あたりだ。
 
クラスの男子の一人が、かなりきわどい、いわゆる「裏」と呼ばれる修正ナシのシロモノを学校に持ってきたことがあった。

女子がキャアキャアと逃げ出す中、瑠璃さん一人だけは、平然と見ていた。

あまりに平然と凝視しているので、持ってきた男子は毒気を抜かれていたし、見かねたぼくは瑠璃さんから雑誌を取り上げたのだけど、あれは、もしかしたら・・・・。

生まれたばかりの赤ん坊は、ライオンを見ても逃げ出さないのと同じように、ひょっとしたら瑠璃さんは、あれが何なのかわかっていなかった、のでは・・・ないだろうか。
 
いや、まさかな。

だけど・・・・。

機械オンチの瑠璃さんはパソコンも使えないし、要は筋金入りのお嬢様だから無菌状態で育てられている・・・んだよなぁ。

知らなくっても、瑠璃さんならさもありなん、と言う気もするし・・・だけどなぁ・・・そんなことってあるんだろうか。

「どうしたの?高彬。さっきから黙りこくっちゃって」

考えこむぼくを不審に思ったのか、瑠璃さんが顔を覗き込んできた。

「いや、別に・・・。・・・あのさ、瑠璃さん」

考えていてもしょうがない。本人に聞いてみるのが一番だろう。

「なあに」

「あの・・・前にプロポーズした時のことなんだけど」

「うん」

その時のことを思い出したのか、瑠璃さんがほんのりと頬を染めた。

「あの時、瑠璃さんはぼくに『結婚ってどんなものだかわかっているの?』って聞いただろ」

「そういえば・・・そんなこと言ったわね」

「それで瑠璃さんは、その後に『同じ家に住んで・・・』と言って、言葉に詰まっていたけど、その後は何を言うつもりだったの?」

「その後・・・」

ふと、瑠璃さんは考え込むような顔つきになった。

「結婚は、同じ家に住んで・・・」

「うん、その先は?」

「毎日、一緒にご飯を食べて・・・」

「うん」

「将来のことを2人でいろいろ考えて・・・」

「うん」

「病気になったら、お互いに支えあって・・・」

「うん、そうだね。後は?」

「後・・・?うーん、それくらいかしら」

「え?他に・・・あるだろ。その・・・夫婦2人でやる、大切なことが」

「夫婦2人でやる、大切なこと?」

「うん」

瑠璃さんは腕を組んで考えると

「芝刈り・・・?」

自信なさそうに言った。

「はぁ?!違うだろ」

思わず大声で言うと

「そ、そうよね、マンションに庭はないし」

瑠璃さんは慌てて手を振り否定した。

「いや・・・庭があるなしじゃなくて・・・さ」

・・・・本当に知らないのか?

それともぼくをからかっているのか?

頼む、からかってると言ってくれ。

「瑠璃さん」

軽い眩暈を感じながら、ぼくは瑠璃さんに向かい合った。

「もうひとつ聞くけどさ。ぼくが『寝室を分けてもらっていい』って言ったのは、何でだと思ってるの?」

「高彬の寝相が悪いからでしょ」

「・・・・・・・」

こうなったら単刀直入に聞くしかない。

「瑠璃さん。さっき、子どもたちが言ってたコービって知ってる?」

どうせ知らないだろうと、半分、やけくそになって聞くと

「知ってるわよ」

意外な答えが返ってきた。

「本当に?コービって、どのコービだと思ってるの」

「どのコービって・・・。あれでしょ、パンダのコービに成功しました、とかニュースで言う・・」

「それだよ!」

なんだ、知ってるのか。

そうだよな、瑠璃さんだって19歳だもんな。

結婚のなんたるか、コービのなんたるかくらい、知っていて当然だよな。

一気に目の前が開けた爽快な気分でいると

「でも、赤ちゃん作るためにコービするなんて、ほんと、動物って大変よね」

瑠璃さんがソファに身を沈めながら呟いた。

「ほんと、動物は大変・・・え?動物?」

動物・・・?

気分よく同意しかけたぼくは、瑠璃さんの口ぶりに妙なひっかかりを感じて、思わず身を引き締めた。

「動物って・・・。瑠璃さん・・・あの・・さ、人間も動物だってことはわかってるよね?」

「え?」

「つまり、人間にもコービが必要ってこと・・・」

「・・・・・・」

瑠璃さんの目が少し見開かれ、奇妙な沈黙が流れる。

おいおい、本当に知らないのか?

最終判断のため、慎重にカマをかけてみる。

「瑠璃さん。確か人間には春と秋に発情期があって、赤ちゃんを望む人はその期間に一度、コービをするんだったよね」

言葉を選んでゆっくりと言うと、瑠璃さんは一気に緊張が解けたのか、ほっとしたような顔になった。

「当たり前じゃない。もう、コービコービって昼間っから、やぁねぇ」

紅茶でも淹れるわね、と言いながらキッチンに向かう瑠璃さんの後姿を、ぼくは脱力して見つめた。

これじゃあ、さっきの小学生たちのほうが、よっぽど知識があるぞ。

GW中にチューを、あわよくばその先も・・・と考えていた、ぼくの大いなる志はどうなってしまうんだ。

いやはや、前途多難だなぁ・・・。

上機嫌で紅茶を淹れる瑠璃さんを見ながら、ぼくは大きなため息をついた。






***fin***


 
(←お礼画像&SS付きです)

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Secre

maiさま

> いやはや、ほんと、前途多難です(笑)

ぜひぜひ、高彬を応援してあげてくださいね!

誠心誠意?

高彬の「そりゃ、見る分には…」の真面目な言い訳が可笑しくて、思い出すたび爆笑してました。誠心誠意って、ずれてるよ、高彬(笑)そりゃ、瑠璃じゃなくても怒るって(爆)あと「芝刈り…?」もウケました!いやはや、ほんと、前途多難です(笑)

まほさま

> 楽しく読ませていただきましたv

ありがとうございます。

> 二人とも同居しててチューもまだとは可愛いです。

高彬は辛いと思いますけどね・・・。

ryoさま

> 現代編の続きが読めて嬉しいです!!

一話で終わりのつもりが、なぜだか書いてしまいました。

> そして高彬巨*乳好きの辺り、面白かったです(笑) vvv

まったくの妄想なんですけどね、なんとなくそうだったら面白いなぁ・・・と思いまして。

No title

楽しく読ませていただきましたv
入籍しちゃったとは、高彬、抜かりはないですね。
さすが有能!と思いました。
二人とも同居しててチューもまだとは可愛いです。
瑠璃さんの天然ぶりも良かったです。
保健体育の授業はどうしてたんでしょうか?

No title

現代編の続きが読めて嬉しいです!!
ボタンをネックレスにして身につけたり、恥ずかしがり屋の瑠璃さんがとても可愛いです…vvv
そして高彬巨乳好きの辺り、面白かったです(笑) vvv
やっぱり瑠璃が一番好みなんだなって感じの高彬がすごく良いですね(^^)vvv
子供達との会話も楽しかったです。これから高彬の大いなる志(笑)がどうなるのか気になります…!

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ももさま

> でも、こんなカマをかけてしまったら、春と秋に一回ずつしかさせてもらえなくなっちゃうかも~(笑)

確かにそうですね。
いったい高彬にはどんな作戦があるのか、ないのか・・・。
高彬の頑張りに期待したいところですね。

みみたびさま

> 瑠璃のおとぼけと高彬の苦労は変わらないのね。

相性と言うか、組み合わせの妙は、時空を超えるんでしょうね。

ヨッシーさま

>高彬やるね。でも、キスがまだとは、これからが大変そう。

貴族でも大学生でも、高彬が有能で、でも苦労性なところの設定にブレはありませからね。

No title

高彬、本編ではなんどもお預けくらってるから、さっさと決めちゃって大正解ですね。
でも、こんなカマをかけてしまったら、春と秋に一回ずつしかさせてもらえなくなっちゃうかも~(笑)

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傑作

このシリーズ、傑作ですね。素敵です。現代に変わっても、瑠璃のおとぼけと高彬の苦労は変わらないのね。GWラスト、疲れた私に良いお薬になりました。

No title

面白い。すぐに結婚とは、早業ですね。高彬やるね。でも、キスがまだとは、これからが大変そう。チュー以上の事が、できるのか、高彬の腕の見せ所ですね。どんな作戦でいくのかな楽しみです。
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