***古典シリーズ*** 今は昔。<新釈・竹取物語>11

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』






注)原作の設定を大きく逸脱した部分を含むお話です。閲覧は自己責任でお願いいたします。
               
        






***古典シリーズ*** 今は昔。<新釈・竹取物語>11 ***






「瑠璃さん。それって・・・」

「・・・」

「瑠璃さんの好きな人って・・・」

さすがにその先の言葉を言う事は出来なくて口ごもると、瑠璃さんはいったん目を閉じて唇を引き結んだ。

小さく息を吐く音がしたと思ったら、また目を開け、そうしてまっすぐにぼくを見ると

「そうよ。高彬よ」

「・・・」

青天の霹靂とは、こういう事を言うのかも知れない───

瑠璃さんがぼくのことを好きだって?

嬉しいと言う気持ちよりも、信じられないと言う気持ちの方が強かった。

だって、瑠璃さんは・・・

「ぼくが前に一度だけ瑠璃さんに文を送った時、文を読んだ途端『ひどい』と泣き伏したと聞いたんだけど・・」

慎重に言ってみると

「そうね、言ったわ」

瑠璃さんはあっさりと認めた。

「それどころか、文を握りつぶしたとも聞いたんだけど・・」

「えぇ、握りつぶしたわ」

「・・・・」

それをどう解釈したら、ぼくが好きなことに繋がるんだろうか。

ましてや<振られた>なんてことになるんだ?

瑠璃さんの言っていることが、全然分からない。

ひょっとしたらぼくは、自分が思ってるより馬鹿なのかも知れないな・・・

「瑠璃さん。恥を忍んで聞くけど、ちょっと瑠璃さんの言ってることが分からないんだ。分かるように説明してくれないか」

ぼくは白旗を上げた。

本当にさっぱり分からない。

瑠璃さんを振った覚えなんか、これっぽちもないのだ。

「本当に覚えてないの?」

探るような目で瑠璃さんが聞いてきた。

「・・うん」

「本当に?」

「うん」

いよいよ、これは、記憶の一部をすっぽりと忘れてしまう奇病にでも罹っているのはないかと不安が募ってくる。

瑠璃さんは大きなため息をつくと

「本当に男って薄情ね。何でも忘れてしまうんだから・・」

ぶつぶつと呟き

「ごめん・・」

何となく謝ってしまう。

「前に融と3人でここに来たことは覚えてる?」

ここ、と言いながら、瑠璃さんは地面を指さした。

「覚えてるよ」

そこは自信を持って答えると、瑠璃さんは頷き

「その時に、京から持ってきた『源氏物語』を読んだことは?」

「うん、覚えてる」

確かにそういう事があった。

遠縁の叔母君だかにもらったと言う『源氏物語』を瑠璃さんが暇つぶし用にと、京から持ってきていたのだ。

それで、3人で何となく、まぁ、読んだと言うかめくったと言うか・・・

だけど、それが何だと言うんだろう?

「その時、あたしは主人公に対して『こんな浮気な人、ヤダ』と言ったのよ」

「うん」

瑠璃さんらしいなと思ったから、それも覚えてる。

「そしたら、高彬、何て言ったか覚えてる?ひどいこと言ったのよ」

「ぼくが?」

「『こんなのは世間でよくあることだよ』って」

「・・・・」

「つまり、浮気男の肩を持ったのよ」

「・・・」

「と言う事は、あんたも浮気男の仲間ってことなのよ。大人になったら、どうせ数々の女性と浮名を流し、宮廷でも女官に色目を使って、結婚しても正妻、愛人の間を渡り歩いて・・」

「ちょ、ちょっと待ってくれよ、瑠璃さん」

このまま黙って聞いてたら、ぼくはとんでもない女たらしと言うことに確定しそうで、慌てて瑠璃さんの言葉を遮った。

「それを言ったのはぼくじゃない」

「え」

「融だよ」

「・・・」

「え・・、うそ・・」

瑠璃さんの目が丸くなった。

「ウソじゃないさ。その時のこと、よく覚えてるよ」

「・・・」

眉間に皴を寄せ、何事かを考える顔をしている。

「まさかと思うけどさ、その勘違いで瑠璃さんはぼくに振られたと思ったの?」

またしても慎重に聞いてみると、少しの沈黙のあと

「・・・うん」

瑠璃さんは渋々のように頷いた。

「どうしてそれだけのことで・・・」

「それだけって!」

瑠璃さんは不服そうな声を上げ

「だって、好きな人にそんなこと言われたらショックじゃない。浮気しますって言われたも同然なのよ」

「同然って言われても、だから、ぼくは言ってないし・・」

「うん・・」

「あのさ、瑠璃さん。ひとつ聞くけどさ。瑠璃さんが、あまりぼくたちと一緒に遊ばなくなったのって・・・」

「高彬のことが好きなんだなぁって気付いたら、恥ずかしくなっちゃったんだもん」

「だもん、て・・」

何だか・・・

眩暈がしてくる。

「じゃあ、ある日を境にぱったりと御簾から出てこなくなったのって・・」

「高彬が『浮気します宣言』をしたからよ」

「してないって」

「・・うん・・。らしいわね」

「・・・」

「でも、その時はそう思ってたし、だからもう高彬のことは諦めよう、嫌いになろうって思ったのよ。そう決心した矢先にお文が届いたのよ。だから、せっかく嫌いになろうとしてるのに、ひどいって思って」

「・・・」

「今だってそうよ。高彬とは御簾越しとは言え、普通に話せるようになったしもう大丈夫かな、なんて思ってたのに、急に妻になってくれなんて言うんだもの。またそうやって人の気持ちを掻きまわすようなこと言うから、ひどいなって思って」

「・・・・」

眩暈を通り越して、ため息が出てくる。

気持ちってこうもすれ違うものなのだろうか。

「ぼくはずっと瑠璃さんのことが好きだったんだ。だけど、瑠璃さんに嫌われてるんじゃないかと思ったら文も送れなくなって・・」

「嫌ってるはずないじゃない。あたしの方がずっと好きだったんだから」

「いいや、ぼくの方がずっと瑠璃さんを好きだった」

「あたしよ。あたしの方が先に好きになったんだから」

「そんなことないさ。ぼくの方が先に好きになったはずだ」

「あたしだってば」

「いいや、ぼくだね」

目が合って、2人同時に頬を赤らめた。

ぼくたちは何を<好き好き>言い合ってるんだ・・・






<続>


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