社会人編<16>

社会人編の鷹男の名字、僅差ではありましたが「今上(きんじょう)」に決定いたしました。

「きんじょう」とご提案下さった方、投票にご参加下さった皆さん、ありがとうございました。






「藤原!」

後ろから声を掛けられ振り向くと、そこには鷹男チーフが立っていた。

普段のスーツ姿とは違うラフな格好が妙にサマになっていて、ぼくはしばし目を留めてしまった。

休日のオフィス街に佇むその姿はまるでファッション雑誌を飾るモデルのようで───

ふと我に返ったのは、大股で近寄って来る鷹男チーフの視線が、ぼくの隣に立つ瑠璃さんにちらりと動いたからだった。

瑠璃さんの目には、鷹男チーフは一体どう映っているのだろう・・・?







─Up to you !─<第16話>







「どうしたんだ、藤原、土曜に。仕事か?」

「ちょっと書類を取りに・・・」

大幅にはしょって要点だけ説明すると、鷹男チーフの顔が(ふーん)とでも言うように動いた。

「今上(きんじょう)先輩こそ、どうして・・・」

「相変わらず固いなぁ、藤原は。俺のこと、今上なんて名字で呼ぶ奴、社でおまえくらいだぞ」

低く笑いながらぼくの言葉を遮り、おもむろに瑠璃さんの前に立つと

「藤原瑠璃さん、だよね。秘書課の今上鷹男だ」

さっと右手を差し出した。

「よろしく。瑠璃ちゃん」

横目でちらりと瑠璃さんの様子を窺うと、瑠璃さん目が一瞬、大きく開かれ、鷹男チーフの顔を凝視したようだった。

次いで、視線が下に動き、差し出された手を一瞥すると───

あっけなくそれを無視し

「よろしくお願いします」

抑揚のない声で言い、くるりと踵を返すとビルに向い歩き出す。

一瞬、あっけに取られたような顔をした鷹男チーフだったが、すぐに

「はっはっは」

と闊達な笑い声を上げた。

瑠璃さんの後を追って歩き出そうとするぼくの肩にすばやく腕を回すと

「藤原。おまえ、案外、手が早いな」

ニヤニヤと笑う。

「は?」

意味が判らず聞き返すと

「とぼけるな。瑠璃ちゃん、昨日と同じ服着てるじゃないか。対しておまえは私服だ。と言うことは、おまえがお持ち帰りをした」

「・・・・・」

「どうだ、図星だろ」

「・・・・・」

何を言ってるんだ、この人は。

と思いつつ、瑠璃さんが昨日と同じ服だと言うことにすぐに気が付くなんてすごいな、と感心してしまう。

瑠璃さんが一週間同じ服を着てても、ぼくだったら気付かないかも知れない。

どうだ?ん?と顔を覗きこまれ、ぼくは曖昧に言葉を濁した。

実情はどうあれ「お持ち帰り」をしたことは確かなわけだし、それに何だか「違いますよ」とは断言したくなかった。

明言を避けるぼくを面白そうに見ると

「まぁ、どっちでもいいさ。俺はああ言う・・・」

顔を上げて瑠璃さんの後ろ姿に向い顎をしゃくり

「ちょっと気の強そうなのが大好きなんだ。久々に・・・・燃えそうだ」

にやりと笑って見せた。

じゃあな、と背を向け歩き出したので、何か声を掛けようかと一瞬迷ったけれど、結局何も言わずにぼくは瑠璃さんの後を追った。

「瑠璃さん」

ビルの入り口、セキュリティゲートの手前で瑠璃さんに追いつき、一緒に通過する。

25階まで上るエレベーターの中、終始、瑠璃さんは無言だった。

不機嫌そうとかそういう感じではなく、例えて言うなら心ここにあらずと言うか、何か考え事をしてるとか、そう言う感じに見えて、ぼくはふいに浮かんだ自分の考えにギョッとなってしまう。

もしや───鷹男チーフのことでも考えているのだろうか?

あれだけの容姿を持つ人だから、瑠璃さんは一目惚れしたとしても何の不思議もないわけだし。

そう言えば瑠璃さん、鷹男チーフに「瑠璃ちゃん」と呼ばれても怒らなかったしなぁ・・・

チン、と音がして25階でエレベーターは止まった。

ドアが開き廊下を歩きだすと、今まで黙っていた瑠璃さんが前を向いたまま唐突にぼくに話しかけてきた。

「今の鷹男チーフって人・・・」

「・・・うん」

「入社して長いの?」

「ぼくより3年先輩だからね、もう5年はたつんじゃないかな」

「ふぅん・・・5年・・。どんな人なの?」

「どんなって・・」

ぼくはまたしても口ごもってしまった。

端的に言うとしたら「名うてのプレイボーイ、流した浮名は数知れず」となるのだろうけど、まさかそう言うわけにはいかないだろう。

何だかそれはフェアじゃない気がする。

「まぁ、仕事は出来る人だと思うよ。秘書課のチーフやってるくらいだから」

「ふぅん」

気のない返事をする割りには、そもそも瑠璃さんが社内の人間のことをこんな風にピンポイントであれこれ聞いてくるのは初めてのことで、ぼくは何だか心がざわめいてくるのだった。






…To be continued…


(←お礼画像&SS付きです)
プロフィール

瑞月

Author:瑞月
瑞月(みずき)です。

ランキングバナー

にほんブログ村

ランキングに参加しています。
楽しんでいただけましたら
クリックで応援をお願い致します。
1日1クリック有効です。
初めにお読みください
**当ブログの簡単な説明です**
当ブログは「なんて素敵にジャパネスク」の二次小説を掲載しております。 二次小説と言う言葉を知らない方や苦手な方は閲覧ご注意ください。 また読後のクレームはお受けできません。 「ごあいさつ<最初にお読みください>」も合わせてご一読下さい。
カテゴリ
別館
乳姉妹ブログ
日記ブログ
掲示板
なんて素敵にサイト様 
最新記事
ご訪問ありがとう(H23.11.28-)
**オンラインカウンター**
現在の閲覧者数:
コメントありがとうございます
お礼SSや「他己紹介」があります。
web拍手 by FC2
** あれこれ投票所 **
お好きなジャンルをお選びください。 投票は何度でも可能です。
*** あれこれ投票所2 ***
メールフォーム(ご用の方はこちらから)

名前:
メール:
件名:
本文:

カレンダー
12 | 2016/01 | 02
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
月別アーカイブ