***短編*** A Summer Place~避暑地の出来事~ ***

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』




※リクエスト企画作品※

注)このお話は一話完結です。社会人編設定の2人です。
               
        






***短編*** A Summer Place~避暑地の出来事~ ***







『・・・由良から電話が?』

携帯の向こうから、いつもよりも少しトーンの低い高彬の声が聞こえてきた。

時計の針は7時半を指している。

日曜日の朝の電話にしては、ちょっと早すぎたみたいで、どうやら高彬はまだベッドの中にいるみたいだった。

『で、なんだって、・・由良は』

まだ、完全に覚醒してないのか、どこか気だるそうな声で言う。

「それがね、来週末、六甲山にある我が家の別荘に遊びに来ませんかって」

『六甲山?』

今度ははっきりした声だった。

「え?藤原家の別荘なんでしょ?知らないの?」

『いや、もちろん知ってるけど。それは、由良と瑠璃さんだけと言う事?』

ようやく頭が回り始めたみたいで、普段の高彬の声になる。

身じろぎするような気配が伝わってきたところをみると、どうやら起き出したらしい。

「さぁ、それについては何も言ってなかったけど。高彬の方には由良ちゃんから何か連絡行ってないの?」

『うん、まだ、何も。後で電話してみるよ。まぁ、どっちみちクルマで行かないと不便なところだし、ぼくを脚代わりに・・・あ、電話だ。多分、由良だよ。一旦、切るよ』

唐突に電話は切られ、あたしは携帯をテーブルに置くと、朝食の準備に取り掛かった。



*******



「瑠璃さま、お久しぶりです。お会い出来て嬉しいです」

「本当に。今日はお誘いありがとう。由良ちゃんも元気そうね」

「はい」

「ぼくも元気だよ」

助手席から融が後ろを振り返って言い

「はい。融さまもお元気そうで」

由良ちゃんに言われ、デレデレと鼻の下を伸ばしている。

運転席には高彬、助手席に融、そして後部座席には由良ちゃんとあたし。

先週の由良ちゃん発案の六甲山避暑地宿泊企画は、結局、高彬が思っていた通り、はなから高彬の運転を当てにしたものだった。

由良ちゃん的には、メインはあたしで、脚代わりに高彬、おまけの融って感じみたいだけど、まぁ、融には言わなくてもいいわよね。

本人、ものすごく喜んでいるし。

クルマが山道を上って行くに連れ、どんどん緑も深くなって来て、そんな中を自転車で走っている人たちもいる。

強い日差しは木々が遮ってくれ、窓を開けると明らかにふもとよりも涼しかった。

全開にした窓から、緑を含んだ冷んやりとした山の空気が車内に流れこんでくる。

「いい風!」

誰にともなく言うと、前を向いたままの高彬が頷くのが見え、(うふふ・・・)なんて思ってしまう。

自分の言葉を受け止めて肯定してもらえるのって、嬉しいもんなのよ。

高彬はあたしの言葉を聞き逃さないんだなぁ・・・って感じで。うふふ。ふふ。

「あ、見えてきましたわ、瑠璃さま。あれがうちの別荘です」

少し拓けたところに建つ藤原家所有の別荘は、それはそれは豪華なもので、自動で開いた門から長いアプローチが続いている。

聞くところによると藤原家の別荘は、ここと、後は和歌山の方にあるらしく、そっちもかなりの豪邸らしかった。

気が多いうちの父さまは、あそこにもここにもと欲しがるので、全て管理の楽なリゾートマンションにしていて、こう言う戸建ての別荘と言うのは、あたしにとっても物珍しい感じだった。

中に入ってみても、外観からの期待を裏切らない造りで、全て室内は「洋風のクラシック」で統一されている。

重厚感のある深い色味の木は程よく光っていて、最高級の木材が使われているのが分かる。

30畳はありそうなリビングは片側一面が窓ガラスになっていて、遠く六甲の山並みと眼下には神戸の街が一望出来た。

「素敵ねぇ」

うっとりと呟くと、高彬と目が合って、何だか慌ててしまった。

だって、すごく優しそうな目であたしを見てるんだもん。

それに、この六甲山企画が決まってから、正直に言っちゃうと

(高彬と2人だったらなぁ)

なんて思いがずっとあって、それは誘ってくれた由良ちゃんにすごく失礼だし・・・、ま、融はどうでもいいんだけど。

少し休んで、遅いお昼ご飯は庭でバーベキューをした。

高彬はバーナーを使って炭に火を起こし、それがまた手際が良くて、思わず見惚れてしまうくらいだった。

炭全体にキレイに火が回ったところで、下のスーパーで買い込んで来たお肉や野菜をトングを使って焼き、あたしや由良ちゃんのお皿に載せてくれる。

そう言えば高彬は料理も出来るって言ってたものね。

こう言うこと全般が、得意なのかも知れない。

もしこの先、高彬と無人島に漂流しても、何とかなりそうな気がしてきて、あたしは何だか高彬を見直してしまった。

生活力があるって、何も高収入だからとか言うんじゃなく、案外、こう言うことを言うのかも知れない。

高彬はいわゆる「高学歴・高収入」に分類される人だけど、でも、人間いざと言う時にモノを言うのは、学歴でも収入でもないものね。

生き抜くための知恵とか行動力が大切って言うか。

高彬はそれを持ってそうな人なわけで・・・

うーん・・・、どうしよう。

今さらだけど、あたしの中で高彬の評価がうなぎ上りだわ・・・

美味しい神戸牛を頬張りながら、チラチラと高彬を見てしまう。



******



「融さまと、展望台に行ってまいります」

バーベキューの後片付けも終わり、リビングでお茶でも飲もうかと話していると、由良ちゃんが唐突に言ってきた。

「え?展望台?だったら皆で・・」

「いいよ、由良。行っておいで。・・・ほら、融」

高彬はクルマのキーを融に向かって投げ、融がキャッチする。

「気を付けてな」

融と由良ちゃんは、文字通りあっと言う間に出掛けてしまい

「・・・」

呆然としていると

「2人なりに気を使ってくれたんだよ」

笑いを含んだ声で高彬は言い

「まぁ、融は由良と2人になれて嬉しいんだろうけど。・・・どうする?クルマは使われちゃったから、ぼくたちは2人で散歩でもする?」

「じゃあ、別荘の中を見てみたいわ。すごく素敵なんだもん。だめ?」

こんなドラマや映画に出てくるような絵に描いたような別荘なんて、そうそう入れるものじゃないもの。

果たして高彬は

「いいよ」

気軽に請け合ってくれた。

人が優にすれ違えるくらいに広い階段に、バルコニー、客室にティールーム・・・

京都の実家は純和風の家だと聞いたことがあったけど、別荘は「古き良き時代のアメリカ」を彷彿とさせるイメージで統一されているようだった。

一階に戻り、これで建物探訪も終わりかと思っていたら、廊下の突き当りに下へと向かう階段がある。

高彬に付いて下りて行くと、案の上、地下室があり、ドアを開けた途端

「うわぁ・・!」

あたしは感嘆の声を上げてしまった。

ゲームルームとでも言うのか、壁にはダーツの的があり、中央にはビリヤードの台が置かれている。

部屋の片側のバーカウンターには、まるでお店みたいに壁一面に様々なお酒が並べられ、グラスはお洒落にぶら下がって収納されている。

「せっかくだから、何か軽く飲む?」

「え」

「瑠璃さん用に薄目に何か作ってあげるよ」

「そんなものまで作れるの?」

「混ぜるだけだけどね。座って」

高彬はカウンターの中に入って行き、あたしは前にあるスツールに腰掛けた。

高彬は冷蔵庫を開けたり、シェーカーを振ったりして、最後にグラスに注ぎ、ものの一分も経たずにあたしの前にカクテルが置かれる。

「ほぼジュースみたいなもんだよ」

透明で炭酸の沫のはじけるカクテルは、夏らしい酸味と少しの苦みを感じさせた。

「美味しい。何が入ってるの」

「グレープフルーツと少しの梅酒。後は炭酸で割っただけ」

「へぇ・・・」

素っ気無い返事になったのは、何だか高彬が益々かっこよく見えてきてしまったから。

うー、どうしよう。

カウンター越しにでもいいから、抱き付きたくなっちゃった・・

自分の気持ちを誤魔化すため、カクテルをゴクゴクと飲みほすと

「瑠璃さん、ビリヤードってやったことある?」

高彬が聞いてきた。

「ないけど、興味はあるわ。映画見て、かっこいいなって思ったから」

「ハスラーか。じゃあ、教えてあげるよ」

そう言いカウンターから出てきた高彬は、どこからか長い棒のようなものを持ってきた。

「これは『キュー』と呼ばれる、ボールをつくための道具。持ってごらん」

手渡されたキューは思っていたよりも重くて

「ある程度の重さがないと、ボールに勢いが付かないからね」

なんだそうで

「まずは基本的なつき方をやってみようか」

すっかり「コーチ魂」に火が付いたのか、高彬はきびきびとした口調で言ってきた。

お手本と称して高彬がまずは一つのボールをつき、あたしはそのカッコよさにドキドキしてしまった。

ボールを見る目付きとか、夏らしい半袖のシャツからしなやかに伸びた腕とか・・・

「まずは真似してやってごらん」

とりあえずは見よう見真似でポーズを取り、ビリヤード台に身体を預けると

「もう少し、こうだよ」

いきなり高彬の身体が密着してきた。

「・・ひゃっ」

しゃっくりのような変な声が出てしまい、でも、高彬はそんなこと気にもならないのか

「手の位置はここで、もうちょっと脚は開いた方が安定するな。で、ここからボールを見て、一息につく」

「う、うん・・・」

取りあえずそう返事はしてみたものの、何でだか気が散ってしまって、ついでに身体に力が入らない感じで、ポーズが定まらない。

「ほら、こうやってさ・・」

あたしの腕の隣には、高彬の腕。

キューを握る手に手を重ねられ、腕まで重なり合う。

「いい?こうして狙いを付けて・・・」

高彬が腕を動かすたび、綺麗な筋肉の筋が動く。

「・・・」

うー、どうしよう・・・

今の気持ちを端的に、且つ、正直に言うなら───

齧りつきたい。

腕に、パクっとね。

どうしちゃんだろう、あたし。

さっき、肉なんか食べたから、文字通り、肉食女子になっちゃったとか?!

あたしの顔のすぐ横には高彬の顔があり、息づかいまで聞こえてきそう・・・

「ね、わかった?」

近すぎて、声がまるで身体の中から響いてくるように聞こえる。

「・・・」

考えるより先に身体が勝手に動いていた。

横向いて、チュってホッペにキスしたら、普段だったら喜んでくれそうなものなのに、すっかりコーチ道に目覚めているのか、高彬は

「瑠璃さん、集中して」

なんて注意されてしまう。

「高彬ぁ、ねぇ、ねぇ。ねぇってばぁ」

甘えた声を出してみても

「ボールを良く見て」

と、てんで取り合ってくれない。

「・・・」

何さ、フンっ。

甘えたいのに。

「もう飽きた。やめたい。他のことしたい」

「今、始めたばかりじゃないか」

もうーーーっ、少しは察しなさいよ。

2人が帰って来る前に!

恋人同士がすることと言ったら!

「高彬ぁ」

キューを離し、高彬の首に腕なんか回してみる。

「・・・おかしいなぁ、そんなにお酒、入れてないんだけど・・」

高彬は首を捻り

(バカねぇ、高彬に酔ったんじゃない)

なんて思ったけど、クサい台詞なんで言わないでおく。

ふいに着信音が鳴り、高彬の携帯だった。

「融からだ」

電話に出た高彬は、やがて

「・・・うん、わかった」

通話を終えると

「由良と観光して行くから、帰りは遅くなるって」

眉を上げながら言ってきた。

「どうする?瑠璃さん。ビリヤードを続けるか、それとも・・・」

「高彬にする!」

完全に肉食女子と化したあたしは、目の前に立つ、綺麗で美味しそうな身体を持つ高彬に、躊躇なく飛びかかって行ったのだった。






~Fin~


いただいたリクエスト内容は


瑞月さん、きました!ラブラブの神がおりて来ました~!
藍さんの絵をみたらですね、ボンっとキマシタ!
社会人の二人。
場所は高彬(の家族)の別荘。瑠璃と、融、そして由良ちゃんも一緒にお泊りです。しかし二人は置いといて、高彬の別荘には地下にゲームルームがあって、そこにはビリヤードが!!(ありきたりでスイマセーン)
もちろん高彬が手取り足取り瑠璃さん教えるわけです。
別荘ですから少しお酒なんかも飲んだりして、ビリヤードやりますよね
で、教えてもらっているときに、瑠璃さんが高彬の二の腕(!!)に、手に、喉に、あちらこちら、ボディーときめくわけです~
「あたし、高彬の体、好き」と私たちジャガイモの気持ちを代弁してもらいましょうよ!

普段は高彬の方がきっと止まんなくなるんでしょうが、今回は瑠璃さんに襲ってもらいましょう!(笑)
きゃー どうですか?!ありがちですが、教えてくれるたびにドキドキな感じにじゃれあって、ですよー!
何かこう、じゃれ合いながら多少キス交えてくるんですよ、教えてくれる高彬って襲いたく(マジで危険です)なりますよね!(超願望)
ライトなじゃれ合いでも、ちょい濃くても瑞月さんにお任せです。どうです?私だけですか、盛り上がってるの(苦笑)
瑞月さんの妄想パワーにお任せして、細かくワガママリクエスト出してしまいました。すみません。
よろしくお願いします!!

でした。

いずれ続編で、この後の「ちょい濃い」のをアップしようかと画策中です。

>私だけですか、盛り上がってるの(苦笑)

いえいえ、私も盛り上がりました。

ちなみに、カクテルに使用した梅酒の梅は、「高彬の京都の実家の庭で採れた梅」と言う設定です。白梅院だけに。
毒を食らわば皿まで、妄想するなら梅まで。

今まで数知れない妄想で高彬を美味しく頂いてきたことを考えると、私たちは「妄想肉食女子」なのかも知れません。
高彬が目の前にいたら、確実に飛びかかりますからね。

楽しいリクエスト、ありがとうございました!



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***短編*** うつくしき、をみな ***

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』




※リクエスト企画作品※

注)このお話は一話完結です。平安編設定の2人です。
               
        






***短編*** うつくしき、をみな ***







もう少し、早い段階で気付いておくべきだった────

いや、手を打っておくべきだった。

目の前には、きっちりと下ろされた簾。

そっと手で掬い、入って行こうとすると

「入っちゃダメ!」

中から、ツンケンとした瑠璃さんの声が聞こえた。

「瑠璃さん、謝るからさ。取りあえず、顔を見せて」

「嫌!だめ!無理!」

「・・・」

拒否の三連発。

どうしてこんな事態になったのか───

話は5日ほど前に遡る。



******



「沙耶姫を預かる?」

話があるから右大臣邸に寄って欲しいと由良からの伝言があり、久しぶりに仕事帰りに自室に戻ってみたら、由良はすでに部屋の真ん中に座っており、ぼくの顔を見るなり

「お兄さま、沙耶姫を預かってあげてください」

と言ってきた。

由良の隣には沙耶姫がいる。

沙耶姫と言うのは母方の縁戚の姫で、由良と仲の良いことから、ぼくも何度となく会っている姫だ。

由良よりも数歳下で、今年で12になるはずだった。

裳着も済ませておらず、切り揃えた前髪の下に見える目元が、どこか由良に似ている姫である。

「沙耶姫を預かるって、一体、どうして」

全く事態が飲み込めずに聞いてみると

「沙耶姫のピンチなんです」

「ピンチ?」

「はい、お願いします、お兄さま」

「お願いします、お兄さま」

ちなみに2度目の「お願いします」は沙耶姫で、兄がいない沙耶姫はぼくのことを「お兄さま」と呼ぶのだ。

「まぁ、別に預かるくらいならいいけど・・・」

一人は正真正銘の妹、もう1人はぼくを「お兄さま」と呼ぶ妹のような姫2人に頭を下げられるとどうにも落ち着かず、ついつい甘い返事をしてしまったのだけど、ぼくはすぐに後悔する羽目になった。

よくよく話を聞いてみると、まず沙耶姫の「ピンチ」と言うのは、来年に予定している裳着とセットにして、縁談をやんわりと勧められたことなのだそうで、昨今の結婚事情を思えば、それほどのピンチであるとは思えないと言う事。

裳着と同時に結婚すると言うのは、そう珍しいことではない。

そして、なぜ預かるかと言うと、親に対する「ストライキ」なわけで、まぁ、有体に言うと「家出」だと言う事。

更には、ここ右大臣邸に身を隠すことは、沙耶姫の親に取って想定内だから、ついては三条邸で預かって欲しいと、そう言う話であったと言う事。

一度は「預かるくらいならいい」と言ってしまった手前、今さらそれを180度覆すのも大人げない気もして、ぼくは一計を案じることにした。

まずは沙耶姫に、期間はきっちり一週間で、それを過ぎたら素直に自邸に戻ることを約束させ、裏で沙耶姫の親、つまりはぼくの叔父貴に連絡を入れ、沙耶姫はぼくが預かるから心配しないで欲しいと伝えた。

まぁ、これくらい、当然の根回しと言えるだろう。

後は瑠璃さんに事情を話し、三条邸の一部屋で一週間、沙耶姫を預かってもらえばいい。

一週間も家出の真似事をすれば、沙耶姫も気が収まるに違いない。

瑠璃さんに言ってみると、二つ返事で了解してもらえ、こうして沙耶姫は三条邸に一時預かりの身となった。

「妹が出来たみたいで嬉しい」

瑠璃さんは相好を崩して沙耶姫を迎え、全てはトントン拍子───

だったはずなのだが、3日目くらいから雲行きが怪しくなって来た。

仕事を終え、ぼくが三条邸に戻ってくると、大抵、沙耶姫は瑠璃さんの部屋にいることが多く、ぼくは2人の出迎えを受けることになるのだけど、何と言うか、沙耶姫が諸手を上げて歓迎してくれるのだ。

部屋に入って行くと

「お兄さま!」

今まで、瑠璃さんと遊んでいたであろう双六の賽を放り投げ、抱き付かんばかりの勢いで駆け寄ってくるのである。

「おかえりなさいませ、お兄さま」

「ただいま」

「おかえり」と言われたら「ただいま」と言わざるを得ず、そうなると、瑠璃さんは後ろで手持無沙汰に立ち尽くしている・・・

と言う格好になってしまう。

「お兄さま、今日はお仕事、どうでしたの?」

「何か、面白いことがありまして?」

矢継ぎ早に繰り出される質問に一つ一つ答えつつ、瑠璃さんの顔を窺うと、そこはやはり大人の女性のたしなみなのか、妻の貫録なのか、それは定かじゃないけど、微笑みを湛えた顔でぼくと沙耶姫のやり取りを見ている。

何となくホッとしていると

「お兄さま、沙耶と双六をして下さい」

「でも、今、瑠璃さんと・・」

「いいじゃない、高彬。沙耶姫としてあげなさいよ」

にっこりと瑠璃さんに言われ、結局、沙耶姫の相手をしてやることになった。

ルールをまだ良く分かっていない沙耶姫に教えてやりながらやっていると、沙耶姫は「もう一回、もう一回」と何度でもせがんでくる。

「さぁ、もう、今日はもう遅い時刻だ。沙耶姫も部屋に戻って寝なさい」

「お兄さま。沙耶もここで寝とうございます」

「それはダメだ」

「あらいいじゃない、高彬。ここで三人で寝ましょうよ」

「・・・」

またしても瑠璃さんはにっこりと言い、ぼくはこっそりと瑠璃さんの横顔を盗み見てしまった。

「・・・」

わからない。

本当の笑顔なのか、何か裏心のある笑顔なのか・・・・

だけど、沙耶姫がいる手前、それを聞くわけに行かないし、その夜は落ち着かない気持ちで川の字に寝ることになった。

この川の字の順番でもまた揉め、ぼくは何としてでも瑠璃さんを真ん中にしたかったのだけど、沙耶姫が

「沙耶はお兄さまの隣が良いです」

と言い、ぼくが真ん中で寝ると言う事態になってしまった。

「おやすみなさい」

ほどなくすると沙耶姫の寝息が聞こえ始め、それをしばらく聞いてから、ぼくは半身を起こして瑠璃さんを覗き込んだ。

目は閉じられ、寝てるようにも、寝たふりをしてるようにも見える。

わからない・・・。

「・・瑠璃さん」

小声で呼びかけても反応はなく、まさか揺さぶってみるわけにもいかず、諦めてそのまま眠りに就いた。

翌朝も、当然のように2人に見送られて出仕する羽目になり

「いってらっしゃいませ、お兄さま。つつがなくお勤めなさいますよう」

沙耶姫がませた口調で言い、その後ろで瑠璃さんは黙ってその様子を見ている。

車中、落ち着かない気持ちで首筋を撫でた。

愛人を持つと言う気持ちは、こんな気持ちなのかも知れない、と思う。

むろん、沙耶姫は愛人なんかじゃないけど、そう思う。

世間には、複数の愛人を持つオトコも多いけど、心底、尊敬してしまう。

あっちを立てればこっちが立たずで、皆、その辺りはどんな風に対処してるんだろうか。

そういえば・・・

ふと「源氏物語」の内容が思い出された。

かの光の君は、複数の女性を同じ邸内に住まわせていた。

確かその時に光の君は、例え他の女性の対の屋に泊まることになったとしても、帰宅した時は、まずは紫の上に顔を出していたような気がする。

読んだ時に「へぇ」と感心半分、呆れるの半分に思ったから印象に残っている。

沙耶姫は、一時的とは言え三条邸に住んでるわけだし、このことは心に留めておこう。

その道の達人の教えは、素直に聞いて置いた方が無難だ。

瑠璃さんがどう思っているのかは分からないけど、とにかく、帰宅したら、まずは瑠璃さんの部屋に直行しよう───

そう決心した矢先、もろくもそれは破られてしまった。

まだ陽のある早い時刻に帰宅することができ、足早に渡殿を歩いていると

「お兄さま!」

沙耶姫に見つかり、沙耶姫の部屋に引きずり込まれてしまったのだ。

結局、なんやかやと小半刻も引きとめられてしまい、急いで東の対の屋に向かったら、部屋に瑠璃さんの姿はなく、奇妙な顔をした小萩がぼくを出迎えた。

「小萩、瑠璃さんは?!」

勢い込んで聞くと、小萩は上目づかいでぼくを見ながら

「それが、部屋を飛び出してしまわれて・・・」

「飛び出した?!いつ?!」

「東門のざわめきに気付かれた姫さまが『じきに来るわね』とおっしゃられ、でも、待てど暮らせど少将さまがお見えになる気配がなく、遠く風に乗って少将さまと沙耶姫さまのお話になるお声が聞こえた途端、いきなり、すっくと立ち上がられて・・・」

「る、瑠璃さんは何か言ってたかい?」

「『あンの野郎』と・・・」

あンの野郎・・・

「他には?」

「『こうなったらプチ家出よ、家庭内別居よ』などと、ものすごい剣幕でおっしゃられ、そのままプイとお部屋を出て行ってしまわれました」

「・・・」

身の毛もよだつ言葉の羅列に、背中が震えた。

慌てて部屋を飛び出すと、瑠璃さんが行きそうなところを探してまわる。

だけど、思い付く場所を隈なく当たってみても瑠璃さんの姿はなく、ぼくは頭を抱えてしまった。

どこへ行ったんだろう、瑠璃さんは。

プチ家出、家庭内別居の言葉から察するに、外に出たとは考えずらいんだけど。

他に人目に付かずに隠れられる所といったら──

「・・・」

ふと、ひとつの場所が思い付き、急いで向かう。

辿り着いたのは車寄せだった。

ぼくが乗ってきた車が停まっている。

ここまで邸内を探していないんだから、いるとしたらここしかない。

そっと近づき、簾を手で掬い、入って行こうとすると

「入っちゃダメ!」

中から、ツンケンとした瑠璃さんの声が聞こえた。

やっぱり思った通りだった。

ぼくと入れ替わりに、車に乗り込んだのだろう。

簾からは手を離し、代わりに声をかける。

「瑠璃さん、謝るからさ。取りあえず、顔を見せて」

「嫌!だめ!無理!」

「・・・」

拒否の三連発か。

うーん、これはかなり手強そうだ。

「ごめん、入るよ」

返事を待たずに入って行くと、隅っこで膝を抱え膨れっ面をした瑠璃さんの姿があった。

断りもなしに入ってきたぼくを、ムゥとした顔で睨み付けてくる。

「瑠璃さん、ごめん」

隣に座り謝ると、瑠璃さんは身体ごとそっぽを向いた。

「本当、ごめん。真っ直ぐに瑠璃さんのとこに行きたかったんだけと、沙耶姫に引き留められちゃって」

ごめん、と顔を覗き込むと、また瑠璃さんは身体ごとぼくを避け

「ごめん」

「ごめん」

とそれを繰り返すうち、結局、瑠璃さんは一周してしまった。

「瑠璃さん」

このままだと埒が明かず、抱き上げ膝に乗せると、後ろから抱き締める。

「ごめんなさい、ぼくが悪うございました」

沙耶姫のませた口調を真似て言うと、瑠璃さんがクスリ、と笑う気配があった。

「・・・簡単に謝ったりして。本当にそう思ってるの?」

「思ってる。考えなしに幼い姫を預かったりして、本当に後悔してる」

「・・・」

「瑠璃さんも、妹が出来たみたいで嬉しいって言ってくれてたから、つい甘えて瑠璃さんに迷惑を掛けてしまった」

「それは別にいいけど。そう思ったのは本当だし。でも・・・」

「でも?」

「高彬、沙耶姫の言いなりなんだもん。沙耶姫、可愛いし・・」

「ムクれられて機嫌取るのも面倒だったし、まぁ、一週間の辛抱だって思ってたから」

「仲良くて、本当の兄妹みたいに見えたわ」

「由良がいるからね、兄業には慣れてるし。沙耶姫には兄君がいないから、昔からぼくを兄と思ってる節があるんだよ」

「あたしだって兄上が欲しかったわよ」

「・・・え」

「沙耶姫が羨ましい。あんなに素直に甘えられて」

「瑠璃さんも、ぼくに甘えたらいいじゃないか。何なら、期間限定で兄上になってあげてもいいけど」

「えっ」

よほどびっくりしたのか、瑠璃さんが身体を捻って振り返り、目を丸くしてぼくの顔を見ている。

「高彬が、兄上・・・」

「そう。どうかな。瑠璃さんが望むなら、お安い御用だよ」

「高彬がお兄さま・・・」

瞬きもせずに繰り返し言い

「高彬のこと、弟みたいと思ってたことはあったけど、兄上みたいと思ったことは・・・」

ぶつぶつと呟いたかと思ったら、はぁ、と大きな息を吐いた。

「やっぱり遠慮しとくわ。やっぱり高彬は高彬よ、兄上とは思えないわ」

「うん。だろ?ぼくも同じだよ。瑠璃さんのこと、姉さまみたいと思ってたことはあったけど、結婚した今となっては、やっぱり瑠璃さんは瑠璃さんなんだよ。姉上とか妹とか、そんな風には思えない」

「不思議だけど、その通りね」

「この先も、ひょっとしたら妹のような姫とかは出てくるのかも知れないけど、妻のような姫、なんて出てこないし」

そう言うと、瑠璃さんは吹きだして

「出て来たら一大事よ。分かってるでしょうね」

メッと怖い顔で睨む振りをしてくる。

「だから、出てこないって」

うつくしき、をみな───

ぼくにとっての「可愛い人」は、後にも先にも瑠璃さんだけなんだから、「妻のような人」なんて作る気もないし、そもそも生涯、妻は瑠璃さん一人なんだから・・・

その言葉は言わず、代わりに

「ねぇ、瑠璃さん、このままドライブに行こうか」

「ドライブ?!」

膝の上で瑠璃さんの身体がピョンと飛び上った。

「今日は東の市が開かれてる日だし、連れてってあげるよ」

「嬉しい!」

瑠璃さんとのドライブは楽しくて、ぼくたちは牛車の中でずっと手を繋いだまま、物見窓を開けてはおしゃべりしたり笑ったりしながら、久しぶりの夫婦水入らずの時間を過ごした。

やっぱり瑠璃さんと2人で過ごす時間は格別で、まったく持って、幼い姫なんか気軽に預かるものじゃない、と言う見解をぼくに強烈に印象付けた今回の出来事だった。

だけど、この話にはちょっとした続きがあり、小萩に何も言わずにドライブに出てしまったので、帰ったら、心配が高じた小萩に2人してこってりと叱られてしまったのである。

瑠璃さんのことで頭が一杯で、さしものぼくを根回しを忘れてしまったのだ。

終わることのない小萩の小言を聞きながら、小萩に取ってぼくと瑠璃さんは<出来の悪い妹と弟>のようなもの、なのかも知れないなぁ・・、とも思わされた一連の出来事ではあったのだった。





<終>


いただいたリクエスト内容は

設定は平安編で、高彬にとって妹的な存在の少し年下の可愛らしい姫が現れて、二人の仲良さそうな様子を瑠璃が目撃してしまいやきもちを焼き、高彬が瑠璃を宥めるのにあれこれいろいろ頑張るお話。
お兄さんぽい高彬と、年下の姫にやきもち焼く瑠璃が見たい。

でした。

妄想が膨らむ楽しいリクエスト、ありがとうございました!



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***短編*** TGIF! ***

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』




※リクエスト企画作品※

注)このお話は一話完結です。社会人編設定の2人です。
               
        






***短編*** TGIF! ***







隣の席の瑠璃さんの顔をチラチラと窺う。

ぼくが見てるのも気付かないくらい集中しているようで、一心不乱にパソコンに向かい、時には目を瞑ってブツブツ言ったりしている。

オフィスの壁に掛けられてる時計を見ると、時刻は2時半ジャスト。

後30分しかない。

大丈夫なんだろうか?

「瑠璃さん、大丈夫?」

遠慮がちに声を掛けてみると

「・・う・・ん」

顔も上げず、上の空の返事で、今は話しかけない方がいいと判断して、ぼくもパソコンに向かう。

何故、瑠璃さんはこんな状態なのか───

実は今日は「会社説明会」があり、ぼくと瑠璃さんが所属する「マーケティング部」の説明、つまりはプレゼンを瑠璃さんは一任されているのだ。

本当は他の人がやることになっていたのだけど、その人が盲腸炎になってしまい、急遽、人事部の方から瑠璃さんに声が掛かったのが3日前の火曜日。

どうして瑠璃さんに白羽の矢が立ったのかは定かじゃないけれど、瑠璃さんに拒否権はなかったようで、こうして瑠璃さんは大任を負わされてしまったのだった。

「大勢の人の前で話したことってあるの?」

人事部からのお達しを受けた後、瑠璃さんに聞いてみたら

「うーん・・」

と過去を振り返るような目で瑠璃さんは宙を見つめ、まぁ、考えるくらいなんだから、ほぼ無い、と言う事なんだろう。

「何人くらい来るのかしらね」

「去年は100人くらいだったけど」

「え。まさか、去年は高彬がやったとか?」

「そのまさか」

「ふぅん・・・、100人ねぇ。アイドルのコンサートを思えば、少ないと言える気もするけど」

「でも、実際、100人の前に立つと、案外多いし、それに数千人の前より、かえって100人くらいの方が緊張したりするもんだよ」

脅すつもりはなかったけど、経験を踏まえて言うと、しばらく難しい顔をしていた瑠璃さんは(良いことを思い付いた)とでも言うように顔を輝かせ

「100人と思わず、100個のジャガイモの前で話してると思う事にするわ。そうすれば、何とかなるでしょ」

と笑い、今に至るのである。

3日間ぶっ通しで残業してスライドを作り、全ての準備を整え、後は本番を待つだけなのだけど・・・

瑠璃さん本人がどうかは分からないけど、朝からどうも落ちつかない。

ぼくが緊張しても仕方ないんだけど・・・

瑠璃さん、上手くやれるのだろうか。

大勢の学生の前で、大ゴケするなんてこと、ないといいんだけど。

補佐と言う事で、ぼくも説明会に立ち合うことにしている。

一昨日、それを人事に伝えたら、どういうわけだか鷹男チーフが立ち合うことになっていたから、猛然と抗議をしてやった。

畑違いの鷹男チーフに、マーケティング部プレゼンの補佐なんか出来るわけないじゃないか。

文字通り、部外者は引っ込んでろ、と言うのだ。

「そろそろ行くわ」

思い切ったように瑠璃さんが言い、その声音は普段よりもちょっと固めで、やっぱり瑠璃さんも緊張しているようだった。

会場となる大きな会議室は学生の熱気に溢れている。

「うわ、多い」

入った瞬間、瑠璃さんは呟き、確かに去年よりも参加人数は増えているようだった。

控えのイスに座り出番を待つと、ほどなくして瑠璃さんの順番になり、壇上に瑠璃さんが上がって行く。

「それでは、我が社のマーケティング部の業務内容の説明を致します」

マイクを取り、瑠璃さんが話し始めた瞬間、室内からどよめきが上がった───ような気がした。

いや、正確に言うなら、声にならない無言のどよめきだ。

今まで壇上で話してたのが、人事課長の中年男性だったから、その余りの違いに驚いたようだった。

実際、マイクを通して聞こえる瑠璃さんの声は可愛さと聞きやすさを兼ね備え、かてて加えて、そのスタイルの良さも手伝って「アイドル」と言ってもおかしくないほどである。

マイクを握り、時々は言葉を噛みながらも、一生懸命にプレゼンをする瑠璃さんは、まさしくぼくの<アイドル>なわけで───

そんなことを考えながら瑠璃さんを見ていたぼくは、ふと、熱い視線を感じたような気がして、瑠璃さんから視線を外した。

熱い視線の元はすぐに判った。

いや、熱い視線はぼくに向けられていたわけではなく、瑠璃さんに、なのだ。

会議室内の男子学生が、じっと瑠璃さんを凝視している、ように見える。

今日の瑠璃さんは、学生の前で話すと言う事で、白いブラウスに黒のタイトスカート、黒のパンプスと言う普段よりもカッチリとした出で立ちで、それが却って色っぽさを醸し出している、ような気がする。

瑠璃さんが動くたび、綺麗な身体のラインが強調され、見慣れてるはずのぼくでさえ、正直、目で追ってしまうくらいだった。

ブラウス越しに判るバストラインに、細いウエストから続く形の良いヒップライン。

「・・・」

真面目にスクリーンを見ているのは、大半は女子学生で、男子学生はどうも視線が定まっていない。

おまえら、どこを見ているんだ、と気が気じゃなくなってくる。

今日のこの感じだと、瑠璃さん目当てで入社試験を受けてくる奴が現れるんじゃないだろうか。

出来ることなら、一人一人の肩でも叩きながら

『君たちのことは、彼女は「じゃがいも」としか見ていないぞ。残念だったな』

と言ってやりたいくらいだ。

それにしても───

と、ぼくは改めて瑠璃さんに目をやった。

多少の緊張を感じさせる横顔と言い、時折、無意識に髪を耳に掛ける仕草と言い、どうしてこんなに可愛いのだろう、と思う。

いつも間近に見てるせいか、ついつい当たり前のように思ってしまうけど、改めて見てみると、瑠璃さんは可愛くてスタイル抜群な人なのだ。

決して背は高くはないけれど、コンパクトにバランスよく整っている。

華奢なのにどこもかしこも柔らかいし、バストの形も申し分なく良いし、強く抱きしめたら折れそうなほどにウエストは細いし・・・

「・・・」

いや、何だか、マズいな。

ぼくは意識をスライドに戻し、邪まな気持ちを追い払った。



*****



「あー、終わった」

プレゼンを終え、会議室を出た瑠璃さんは、ドアを閉めた途端、大きなため息を吐いた。

「お疲れさま」

「まだ、ドキドキする。やっぱり人前で話すって緊張するわね」

胸に手を当てて言い

「上手だったよ」

「そう?良かった。でも、来年からは頼まれても断ることにするわ」

疲れたー、と言いながら、両手を上げ身体を伸ばしたりしている。

「今日は残業せずに帰ろうよ」

「もちろん、そのつもり。残業続きで気も張ってたから、もうクッタクタよ。金曜だし、定時に上がって早く家に帰りたい」

「いや、ちょっと寄りたいところがある」

「え。何よ、あたし、今日は早く寝たいんだけど」

「大丈夫。すぐに寝られるとこだから」

「・・・え」

終業チャイムと同時にタイムカードを押し、外で瑠璃さんと落ち合うと、そのままタクシーを停め、瑠璃さんを押しこんだ。

「な、何よ、高彬、どこ行くのよ」

「着けば分かるから」

後部座席で小声で聞いてくる瑠璃さんを適当にかわすと、5分ほどでタクシーを降りる。

「こ、こ、こ、ここって・・・」

「入ろう」

立ち尽くす瑠璃さんの手を取り、すぐに建物に入り込む。

建物の前でウロウロするなんて、愚の骨頂と言うものだろう。

ドアを開け部屋に入った途端

「高彬、まさか、ここってラブホテルなんじゃ・・」

「そのまさか」

「えーー、な、何よ、きゅ、急に・・・、あたしに断りもなしに」

「急にしたくなったから」

「したくなったから、って、そ、そんな・・、えーー、何?!ちょ、ちょっと!」

事態が飲み込めずアワアワしてる瑠璃さんを、そのままベッドに連れ込み、上から覆いかぶさりキスをする。

「ちょ、ちょっと、どうしたのよ、一体。あんた、まさか変なクスリでも飲んだんじゃ・・」

「飲んでないよ、何も。さっきの瑠璃さんが可愛い過ぎた」

「・・・」

「服もヒールも良かったし・・」

「何よ、高彬。あんた、あたしのプレゼン見ながら、そんなこと考えてたの?!」

「うん」

「うん、って・・」

「全部じゃないけどね、半分くらいは考えてた。いいオンナだなぁ、可愛いなぁって」

「・・・」

「そう思ったら、すぐに抱きたくなった」

「・・・」

「ダメかな」

「あたしはプレゼンでクタクタなのに・・」

「だからさ、瑠璃さんは何もしなくていいから」

「・・・」

「ぼくにプレゼンさせてよ」

「・・・」

「最大の努力で、ぼくの良さを伝えるから、さ」

「・・・」

「ね」

瑠璃さんは黙り込み、反論がないのは了承の証と言う事で、ぼくは黒いタイトスカートに手を伸ばすと、恋人の特権で太ももに手を這わせたのだった。





~Fin~


いただいたリクエスト内容は

「社会人編」 高彬目線。
金曜日の会議室、瑠璃にとって初めてのプレゼンを心配しながら見守る高彬。
一生懸命話す瑠璃の可愛さにズッキュンやられて、家に帰るまでがまんできずに、瑠璃を初めてラブホに連れ込む高彬。

でした。

そして末尾に「もちろん鍵つき大歓迎です(笑)」とのお言葉が添えられておりましたので、いずれ、ラブホ内でのあれやこれやのお話を鍵付きでアップしたいと思っています。

リクエスト、ありがとうございました!



プレゼンでドキドキ、初ラブホにドキドキ、高彬にドキドキ。
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