***古典シリーズ*** 《続》今は昔。<新釈・竹取物語>1

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』






注)原作の設定を大きく逸脱した部分を含むお話です。閲覧は自己責任でお願いいたします。
               
        






***古典シリーズ*** 《続》今は昔。<新釈・竹取物語>1 ***






薄らと開いた目に飛び込んできた見慣れぬ天井に、一瞬(ここはどこだろう・・・)とぼんやりした頭で考える。

鳥の囀りと同時に、すぐに吉野の山荘であったことを思い出したぼくは、隣を見て、慌てて飛び起きた。

瑠璃さんがいない。

部屋には強くなった陽射しが入り込んできており、どうやら、あの後、すっかり眠り込んでしまったらしい。

あの後、と言うのは、明け方、二度目に瑠璃さんに手を出してしまった後、と言うことなんだけど。

邸内に人の気配はあるのだけど、ウロウロと出て行くのも失礼だし、さてどうしたものか・・と思っていると、衣擦れの音がして瑠璃さんが現れた。

すっかり着替えを済ませている。

「あ、起きたのね、高彬。・・・何よ、変な顔して」

夜具のそばに座りながら言い、ぼくの顔を訝しそうに覗き込んできた。

「いや、目が覚めたら瑠璃さんがいなかったから、てっきり本当に狐に化かされたんじゃないかと思ってたんだ」

「ひどい」

瑠璃さんは唇を尖らせ、目を細めてぼくを睨みつける振りをして───

そうして2人で吹きだしてしまう。

「すっかり寝過ごしてしまって面目ないよ」

「ううん、疲れてたのよ、きっと。京から休まずに吉野入りしたんだもの」

「うん」

「小萩がね、朝餉の用意が出きたから持ってくるって。着替えられる?」

「うん」

瑠璃さんに手伝ってもらいながら、簡単に着替えを済ませると、ほどなくして小萩を先頭に数人の女房らが部屋にぞろぞろと入って来た。

皆、手に高杯を掲げ持っている。

ぼくと瑠璃さんの前に置き、その中に見慣れない杯を見つけて、ぼくと瑠璃さんは顔を見合わせた。

銀の杯の上に、丸い餅がある。

「小萩、これは・・」

「三日夜の餅でございます」

瑠璃さんの問いに小萩は顔を上げないままに言い

「ほんの気持ちばかりの真似事ですが・・、急いでご用意いたしました」

さらに頭を下げた。

「小萩・・・」

呟く瑠璃さんの顔が見る見る真っ赤になっていき、それを見ているぼくも、身体中がかぁっと熱くなる思いがする。

良く見ると、平伏している小萩も耳が赤いようで、この分だときっと顔も赤いに違いない。

小萩たちが退がって行った部屋で、ぼくたちはしばらく銀杯を前に黙り込み

「小萩にはバレてたのねぇ・・」

しみじみと瑠璃さんが言い

「・・うん」

ぼくも頷いた。

「三日夜の餅は、三日通った後の正式な露顕で食べるものなのに・・・」

「うん・・」

「小萩ったら本当に気が早いんだから、イヤになっちゃう」

「・・うん」

言ってる内容とは裏腹に、瑠璃さんの口調は湿りがちで、少し涙ぐんでいるようにも見える。

「せっかくだからいただこうよ。ぼくはどうしたらいいんだっけ?」

「三つを食べるのよ。一口で」

「そうか」

ぼくは銀杯から小さな餅を指で摘むと、口に放り込み三つを平らげた。

その間、瑠璃さんは真面目な顔でじっとぼくの顔を見ていた。

「瑠璃さんはどうするの?何個食べるの?瑠璃さんも三つ?」

「ううん、女の人は何個でもいいの。一個でも二個でも」

「じゃあ全部、どうぞ」

「そんなに食べないわよ。やぁねぇ、人を食いしん坊みたいに言って」

また瑠璃さんは頬を膨らませ、でも、すぐに真面目な顔に戻ると、餅に手を伸ばした。

小さな桜色の指先が餅を摘み、そのまま口に運ぶ。

真面目な顔で咀嚼していた瑠璃さんの口元が一瞬、歪んだと思ったら、ぽろりと涙が頬を伝った。

思わず流れた涙を、恥じるように瑠璃さんはごしごしと手で涙を拭き

「美味しい」

真っ赤な目で笑う。

「うん」

ぼくも笑って頷き返しながら、瑠璃さんを抱き寄せる。

抱きしめずにはいられなかった。





<続>


「《続》今は昔。<新釈・竹取物語>」、楽しんでいただけましたらクリックで応援をお願いいたします。
↓↓



(←お礼画像&SS付きです)

***古典シリーズ*** 今は昔。<新釈・竹取物語>最終話

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』






注)原作の設定を大きく逸脱した部分を含むお話です。閲覧は自己責任でお願いいたします。
               
        






***古典シリーズ*** 今は昔。<新釈・竹取物語>最終話 ***






月が傾いても、ぼくたちは褥の中で寄り添ったまま色々な話をした。

東の空が白々と明るくなる頃、段々と瑠璃さんの口数が少なくなって行き、ついに黙り込んだと思ったら、案の上、瑠璃さんは夢の中だった。

肩に衾を掛け直してやりながら、瑠璃さんの顔を改めて見る。

思えば、明るい中で瑠璃さんを見るのは本当に久しぶりで、例え月の光を纏っていなくても、やはり瑠璃さんは「かぐや姫もかくやあらん」と言えるほどの美しさだった。

ぼくも少し眠ろう、と目を閉じては見たものの、眠れるはずもなく、頭の中で今後の算段を目まぐるしく考えていく。

まずは内大臣さまに結婚のお許しを得て、実家にも話し、陰陽道で吉日を選んでもらい・・・

その辺りは実務的なことと言えるけど、でも、実は一番、頭の痛い問題と言ったら、帝を初めとする例の4人なのだった。

実際、恋の手管にはこの上なく長けている方たちだし、色恋への嗅覚の鋭さは半端がない。

ぼくと瑠璃さんが結婚するなんてことがバレたらどんな妨害工作をしてくるかわからず、とにかく秘密裏に、かつ迅速にコトを運ぶ必要があって───

あれこれ思いを巡らせていたら、身じろぎをして瑠璃さんが目を覚ましたようだった。

「あ、高彬・・」

至近距離のぼくの顔を見ながら、少し驚いたような声で瑠璃さんが言い、目が合うと恥ずかしそうに首をすくめ

「良かった、夢じゃなかったんだ・・」

と呟いた。

「うん。夢じゃないよ」

抱き寄せて言いながら

(本当に、これを夢で終わらせないように、早く結婚話を進めておかないとな)

と思う。

それくらい宮廷と言うのは、いや、もっとはっきり言うと、宮廷人の方々と言うのは信用ならない一面を持ちあわせているのだ。

瑠璃さんの肌はどこもかしこもすべすべと気持ち良く、これを他の奴らに触らせてなるものか、と言う気がされる。

密着し肩を抱いていると、またしても妖しい気持ちになってきてしまい、ぼくは慌てて回していた腕を弛めた。

いくら気持ちが通じ合ったちは言え、ぼくと瑠璃さんはまだ公には認められていない仲なわけで、それなのに、一度ならず二度までもと言うのはさすがに・・・

「どうしたの?ぶつぶつ、言って」

「い、いや、別に」

顔を覗き込まれて、慌てて首を振った。

「何よぅ、気になるじゃない」

更に顔を近づけられ、観念した。

「いや、だからさ。正式に結婚する前なのに、何度も瑠璃さんに、・・そのぅ、手を出すのは、どうかな、と思ってさ」

言ってる内容が内容だけにしどろもどろに言うと、ややしばらく、じぃーっとぼくの顔を見ていた瑠璃さんは、やがて

「はぁ・・」

と大きなため息を吐いた。

「たった今、分かったわ。あたしたちがロマンティックになりきれない原因って、ずばり、高彬、あなたのせいなんだわ」

「え、ぼく?」

「そうよ。普通、どんな物語読んでも殿方ってこういう場面では募る恋情に見境なくなるもんなのに、あなたと来たら、理屈っぽく考えて、なんて言うか・・・理性的なんだもの」

「・・・」

断言する瑠璃さんを、ぼくはまじまじと見返してしまった。

ぼくがどれだけ苦労して理性的であろうとしてたか、分かってるのかな?

理性を捨てていいと言うんなら、いつでもかなぐり捨ててやるけど。

瑠璃さんは童の頃のままの丸い目でぼくを見ており、その目には

(やれやれ、高彬ったら)

とでも言いたげな色合いが漂っている。

だけど

(やれやれ)

と言いたいのはぼくの方だと言うのだ。

もしもぼくが理性をかなぐり捨てて、欲望のままに瑠璃さんを抱いていたらどうなっていたか───

瑠璃さんはぼくの───、男の情欲の本当の怖さを何も知らないでいるのだ。

物語の中で、ロマンティックな言葉を重ねて女性をかきくどく、あの姿だけを男の姿と思っている節がある。

だけど、物語には書かれないその先に、本当の男の姿が、そして、本当のロマンティックがあるはずなのだ。

ぼくたちはまだ、多分、物語の表紙をめくっただけの場所にいるはずで、だからこれから2人でそこに辿り着ければいいわけで───

「高彬」

黙り込んだぼくを何と思ったのか、瑠璃さんはツンツンとぼくの頬を指先で突いてきた。

「怒った?」

「ううん」

ぼくは瑠璃さんを抱きしめた。

「怒ってはいないさ。ロマンティックなことが苦手なのは確かだからね」

そう言うと瑠璃さんは、ぼくの胸の中でくすくすと笑い

「正式な結婚はしていないと言うけど、蓬莱の玉の枝をくれたじゃない。それでは正式な結婚にはならないの?あれは物語の中だけのお話?」

イタズラっぽく言ってきた。

「・・・」

「やっぱりあたしじゃ『かぐや姫』になれない?」

「そんなことはないよ。いや、むしろ、伝説のかぐや姫より、現実の瑠璃姫の方が綺麗だよ」

思わずのように言ってしまうと、瑠璃さんが顔を上げ、パパパっと顔を赤らめた。

「今の、ちょっとロマンティックだったかも・・」

「そうか。じゃあ、ぼくもまだ捨てたもんじゃないかな」

「そうね」

笑いながら接吻をし、額を付けて見つめ合い、抱き締め合って───

気が付いたら、格子の隙間から流れ込んだ朝もやが部屋に満ちていた。

幻想的な部屋の中、不慣れなぼくたちは、ロマンティックの片隅をほんの少し齧るような、そんな朝のひとときを過ごしたのだった。





<終>


続編への含みをどことなく匂わせつつ「今は昔。<新釈・竹取物語>」これにて完結です。
長らくのお付き合いありがとうございました。

古典シリーズ、楽しんでいただけましたらクリックで応援をお願いいたします。
↓↓



(←お礼画像&SS付きです)

***古典シリーズ*** 今は昔。<新釈・竹取物語>19

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』






注)原作の設定を大きく逸脱した部分を含むお話です。閲覧は自己責任でお願いいたします。
               
        






***古典シリーズ*** 今は昔。<新釈・竹取物語>19 ***






「あ・・・」

瑠璃さんの口から思わずのように漏れた言葉が思いの他に甘やかに聞こえ、口を開きかけたぼくは、ふと考えて言葉を飲み込んだ。

何も聞かない方がいい気がしたからだ。

瑠璃さんの反応を見ながら指を動かしていくと、どんどん潤いが増していくのがわかる。

瑠璃さんを気持ち良くさせている───

堪らない気持ちになり、指はそのままに接吻をすると、瑠璃さんはぼくの首に腕を回してきた。

夢中で唇を吸い合い、裸の胸を合わせるうち、どうしようもないほどの情欲がやってきた。

瑠璃さんと褥に入ってから、初めてやってきた直接的で生々しい情欲だった。

体勢を変え、瑠璃さんの脚を開き身体を割り込ませる。

「・・いい?」

瑠璃さんが小さく頷くのが見え、あてがって身体を進めていくと

「あっ・・」

短く瑠璃さんが声をあげ、逃げるように身体をずり上げてしまった。

「ま、待って。高彬・・・。何だか、痛そうな予感がするの・・」

「う、うん・・」

多分、それは予感じゃないよ、と思ったけど、それは言わないでおく。

瑠璃さんはひとつ大きく息を吸うと

「大丈夫」

まるで自分の言い聞かせるように言い、そうして目を瞑った。

「いい?挿れるよ」

「・・うん」

身体を進めると、またしても瑠璃さんは

「待って」

とずり上がり

「待って」

「うん」

「待って」

「うん」

を繰り返し、とうとう

「待って」

「待たない」

ぼくは瑠璃さんを抑え込んだ。

このまま待ってたら、一生、待たされるような気がする。

「え、あ・・、え・・」

当然、待ってくれるものだろうと思っていた瑠璃さんは狼狽えたような声を上げ、必死に身体を動かそうとしたけど、ぼくは肩を抱いてそれを阻止した。

「待って。痛いかも知れないの」

「待ってたって、痛みは減らないよ」

「やっぱり痛いのね!」

瑠璃さんは悲鳴のような声を上げ(しまった)と思ったけど

「ごめん。少し我慢して」

ぼくは機嫌を取るように瑠璃さんの髪を撫ぜた。

身体を進めて行くと、押し開いていくような感覚がある。

「やっぱり痛い・・!待って、待って」

瑠璃さんはイヤイヤと頭を横に振り、逃げようと必死に腰を動かした。

「ごめん、もう少しだから」

痛がる瑠璃さんには悪いけど、逃げようと瑠璃さんが腰を動かすたびに中が締め付けられ、信じられないほどの快感がやってくる。

「痛い・・」

「ごめん」

「許さない・・」

「え」

瑠璃さんが真っ赤な顔の脹れっ面で言い、お互い必死な時なのに、目が合った途端、2人して何だか笑ってしまった。

瑠璃さんが笑うと、また中が締め付けられ

「ちょ、ちょっと待って、瑠璃さん。動かれると、イロイロ、マズい・・」

焦って言うと、瑠璃さんはクスクスと笑い

「待たないわ」

「頼む、待ってくれ。動かないで。笑わないで」

「いやぁよ」

イジワルそうに、楽しそうに言う。

「あたしたちって・・、何だかロマンティックになり切れないのねぇ」

瑠璃さんがしみじみと言い

「うん」

それにはぼくも全くもって同感だった。

だけど幸せで、ぼくは繋がったまま、瑠璃さんをぎゅっと抱きしめたのだった。





<続>


次回、最終話です。楽しんでいただけましたらクリックで応援をお願いいたします。
↓↓




(←お礼画像&SS付きです)

***古典シリーズ*** 今は昔。<新釈・竹取物語>18

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』






注)原作の設定を大きく逸脱した部分を含むお話です。閲覧は自己責任でお願いいたします。
               
        






***古典シリーズ*** 今は昔。<新釈・竹取物語>18 ***






白くて柔らかくて───

瑠璃さんの乳房は、まるで春の泡雪を思わせた。

掴んだら消えそうで、そっと触れていく。

「・・・大丈夫よ、痛くないから」

ぼくの触れ方を見て、瑠璃さんは何と思ったのか、そんなことを言ってきた。

「うん・・」

痛いと思ってたわけではないけど、それでも、瑠璃さんの言葉に励まされるように少し強めに触れてみる。

元より、経験も何もないぼくが、いきなり瑠璃さんを快楽に導けるはずなどないと言う事は分かっていた。

宿直の夜に聞く同僚たちの口さがない閨話のあれこれには、いつもどこか違和感を抱いていた。

その手の話に興味がないと言えばウソになるけど、でも、今、ぼくが瑠璃さんに感じてるものとはまったく別物だと思える。

だったら───

ぼくなりのやり方で愛そう。

ぼくの中にある欲望は、瑠璃さんを好きだと言う欲望だ。

上手くやろうとか、カッコつけようとか、そう言う体裁は一切抜きにして、ぼくが瑠璃さんを好きな気持ちが伝わるようにやろう。

そう思ったら、ふと気持ちが楽になった気がした。

瑠璃さんが好きだ。

心も、身体も、愛おしい。

その気持ちに忠実に、強く抱きしめて接吻をして行く。

頬、額、唇、耳、首筋、喉、肩、乳房・・・

声にならない瑠璃さんのわずかな吐息が聞こえた気がして顔をあげると、瑠璃さんは目を閉じて、うっすらと唇を開いていた。

着ていた単を脱ぎ捨て、瑠璃さんの腰紐を解き袴を脱がせると、瑠璃さんは一糸纏わぬ姿となった。

月明かりに浮かび上がる瑠璃さんの裸体は息を飲むような美しさである。

童の頃、瑠璃さんの裸に近いものは何度か見たことがあった。

三条邸の池で水遊びした時、あまりの夏の暑さに衣を脱ぎかけた時、融と3人でお昼寝して、寝乱れた姿の時・・・

あの頃は、3人とも同じような身体だったはずだ。

瑠璃さんの身体も真っ平だった。

それが今の瑠璃さんは、どこもかしこも柔らかな曲線で出来ている。

肩も乳房も、腰も太ももも───

無意識のように手が伸びていた。

乳房から腰へ、また乳房へ。

吸い付くような肌は、大人の女のものだった。

瑠璃さんの脚の間に指を滑り込ませる。

ハッと瑠璃さんが息を飲み、慌てて顔を覗き込むと、瑠璃さんは小さく笑って頷いて見せた。

分け入って行くと、そこは十分に湿り気を帯び・・・

───濡れていた。

「瑠璃さん・・」

思わずため息のような声が出ていた。

愛撫とも呼べないような、ぼくの拙い動きで、反応を示してくれたと言う事が、胸が震えるほどに嬉しい。

会えないでいるうちに、ぼくたちはやはり大人になっていたのだ。

童だったぼくたちは、男と女になって再会した。

4年と言う年月は、硬い蕾のようだった瑠璃さんの身体をこんなにも綻ばせていたのか・・・

「脚、少し開ける?」

「・・でも・・」

「痛くないようにするから」

「・・う・・ん」

瑠璃さんが気持ち脚を開き、さらに指を奥まで滑り込ませる。

「大丈夫?これくらいない痛くない?」

「・・うん」

「良かった」

気が急いて強くならないよう、優しく指を動かして行く。





<続>


<山荘の一夜>シーン、もうちょっと続きます。楽しんでいただけましたらクリックで応援をお願いいたします。
↓↓




(←お礼画像&SS付きです)

***古典シリーズ*** 今は昔。<新釈・竹取物語>17

『なんて素敵にジャパネスク〜二次小説』






注)原作の設定を大きく逸脱した部分を含むお話です。閲覧は自己責任でお願いいたします。
               
        






***古典シリーズ*** 今は昔。<新釈・竹取物語>17 ***






単衣の合わせから入れた指先が瑠璃さんの肌に触れる。

柔らかくて温かくて───

知らずにため息が出た。

片思い期間中、瑠璃さんの肌をああかこうかと想像したことは幾度となくあった。

正直、それ以上の想像をしそうになり、でもそれは瑠璃さんを冒涜するような気がして慌てて押し留めたり、だけど、やっぱり想像してしまい、その後にひどく自己嫌悪に陥ったり・・・

会えないでいた間も、ぼくはずっと瑠璃さんを感じながら過ごしていたんだな、と改めて思う。

合わせを開くと、瑠璃さんの両の乳房が現れ───

と思うまもなく、瑠璃さんは思わずのように合わせを掻き合わせた。

「・・・やっぱり、恥ずかしい・・」

下から真っ赤な顔で言う。

「うん、恥ずかしいよね」

「・・・」

「ぼくも恥ずかしいよ」

「・・・」

嘘偽りない気持ちだった。

裸体を見て、ただ劣情するには、ぼくは瑠璃さんを少し好き過ぎるのかも知れない。

いったん目を閉じた瑠璃さんは、目を開けると握っていた手を弛めて行った。

徐々に離れて行った両手は、やがて完全に身体の脇に下ろされた。

「恥ずかしいけど、・・・高彬だものね」

「うん」

瑠璃さんの言葉に幸せな気持ちが広がっていく。

「ぼくがこう言うことに慣れてて、もっとリードしてあげられればいいんだけど・・・」

情けない気持ちもあってボソボソと言うと、瑠璃さんは首を横に振り

「高彬が慣れてたりしたら嫌だわ。絶望的な気分になる。かぐや姫じゃないけど月に帰りたくなるわ」

「月に帰る?それは困るな」

そう言って笑おうとした途端、ふいに泣けてくるような感情がやってきた。

歪んだ顔を見られたくなくて、接吻をする素振りで首筋に顔を埋める。

童の頃、瑠璃さんを好きだった気持ちがまざまざと思い出されたのだ。

瑠璃さんは、いつもこう言う人だった。

情けないぼくを、丸ごと受け止めてくれる人だった・・・

右大臣家に生まれ、幼いながらも回りからの期待を感じていたぼくは、漢籍にも武術にも、いつも一生懸命に取り組んでいた。

無言のうちにも出来ることを求められ、それに応えようとして頑張っていたぼくに取って、瑠璃さんは避難所だったのだ。

石蹴りも下手くそで、相撲を取れば負けてばかりのぼくをいつも豪快に笑い飛ばしてくれ、だからぼくは瑠璃さんの前では伸び伸びと振る舞えたし、転んだら泣くことだって出来た。

瑠璃さんのいる三条邸は、幼いぼくにとって安心出来る秘密基地みたいな場所だったのだ。

17歳で年若い近衛府の少将となり、将来有望だの花形公達だの騒がれることが増え、でもそういう声はぼくにとっては重責以外の何ものでもなかった。

<出来る>ことが当然で、人より長けていることが求められる宮廷は緊張を強いられる。

ヘマは出来ない、弱みは見せられない───

そんな中で聞く、瑠璃さんの

「慣れてたら嫌」

は、ぼくを泣きたい気分にさせるのに十分だった。

「瑠璃さんが好きだ」

顔を上げて言うと、突然のぼくの言葉に笑い掛けた瑠璃さんは、ハッとしたように表情を止めた。

ぼくの目が赤いことに気が付いたのか知れない。

じっとぼくの顔を見ると、ふと表情を和らげ

「どうしたの、急に」

優しい声で言い、ぼくの頬に手を伸ばしてきた。

「大好きなんだ」

「・・・」

瑠璃さんは両手でぼくの頬を包むと

「わかってるわよ。さっき言ってもらえたもの。だからあたしたち、今、こうしているんじゃない」

「・・うん」

返事をした途端、涙が一筋、頬を伝った。

きっと瑠璃さんの手の平が温かかったからだ。

「ばかね、どうして泣くの。こういうところで泣くのは、女なのよ」

「・・うん。ごめん・・」

「大きくなったのは背丈だけなのね。何にも変わっちゃいないんだから・・」

瑠璃さんの声が震えだし、泣き笑いみたいな顔をしている。

「・・・うん。ぼくはきっと、あの日から何も変わってない・・。変わらず、瑠璃さんだけが好きなんだ」

「・・あたしもよ。あたしも変わってない。高彬だけが好き・・」

涙で光る目で見つめ合い、次の瞬間、ぼくたちはひしと抱き合った。

裸の胸に、瑠璃さんの柔らかな乳房を感じていた。





<続>


<山荘の一夜>シーン、まだ続きます。楽しんでいただけましたらクリックで応援をお願いいたします。
↓↓




(←お礼画像&SS付きです)
プロフィール

瑞月

Author:瑞月
瑞月(みずき)です。

ランキングバナー

  ↑
ランキングに参加しています。
楽しんでいただけましたら
クリックで応援をお願い致します。
1日1クリック有効です。
初めにお読みください
**当ブログの簡単な説明です**
当ブログは「なんて素敵にジャパネスク」の二次小説を掲載しております。 二次小説と言う言葉を知らない方や苦手な方は閲覧ご注意ください。 また読後のクレームはお受けできません。 「ごあいさつ<最初にお読みください>」も合わせてご一読下さい。
カテゴリ
別館
乳姉妹ブログ
日記ブログ
掲示板
最新記事
ご訪問ありがとう(H23.11.28-)
**オンラインカウンター**
現在の閲覧者数:
コメントありがとうございます
なんて素敵にサイト様 (ジャパネスク)
なんて素敵にサイト様(他ジャンル)
お礼SSや「他己紹介」があります。
web拍手 by FC2
** あれこれ投票所 **
お好きなジャンルをお選びください。 投票は何度でも可能です。
*** あれこれ投票所2 ***
メールフォーム(ご用の方はこちらから)

名前:
メール:
件名:
本文:

カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
月別アーカイブ