謎・・・5<絢姫の懐妊>

瑞月です。

いつもご訪問いただきありがとうございます。

先日、読者の方から

「原作を読む限り、絢姫が妊娠した際、父親が帥の宮だとすぐ分かったような印象を受けていますが、逆に、鷹男は「自分が父親ではない」と思わなかったのでしょうか・・・。」

と言うメールを頂きました。

これについて、もうずっと前になるのですが私も全く同じ疑問を書いたことがあり(「謎・・・2」)、今回は久しぶりの考察記事として、この辺りのことを考えて行こうと思います。


(扱ってるテーマが「懐妊」ですので、ある程度、直接的な表現が出てきますのでご了承下さい)


女性側がお腹の子が誰の子であるかを特定するには、有体に言うと「月のもの」があったかどうか、しかないと思います。

現代であれば、女性側で妊娠をコントロールする手立てもありますが(女性側が避妊をする等)、平安時代にそれが出来たとは思えません。

ですので、時系列で考えると

鷹男と関係を持つ

直後に「月のもの」

その後、帥の宮と関係を持つ

だと思います。

絢姫の「月のもの」サイクルが順調だったとすると、鷹男と関係を持ってから、およそ2週間後の数日間が妊娠可能日であったはずで、それくらいなら鷹男も怪しまず、かつ、絢姫自身は「絶対に帥の宮の子」と確信出来ると思います。

時系列的にはこんな感じかな、と思うのですが、でも今回、改めて考えて見て思ったことがあるのですが

>鷹男は「自分が父親ではない」と思わなかったのでしょうか。

これに関しては、関係を持った詳細な時期がどうのと言う以前に、鷹男が疑念を抱かなかったのは、鷹男の絢姫に関する「無関心」に依るところが大きかったのではないか、と言う事です。

鷹男に取って、絢姫はたくさんいる夜のお相手の中の一人。

数か月前に絢姫と関係を持ったかどうかなんて、覚えてないような気がします。

恐らくは、鷹男は絢姫の懐妊を知った時、手放しで信じたのでしょう。

手放しで「喜んだ」のではなく、「信じた」。

まさか密通してるなんて、疑いも(思いも)しなかったはずです。

これも愛ゆえに「疑わなかった」のではなく、無関心だから「思いもしなかった」。

絢姫は、鷹男に対し、心の底から「申し訳ないことをした」と思い、罪の重さに恐れおののいています。

鷹男が「疑いもせず手放しで信じた」から、罪の意識は余計に強まった気がします。

だけど、その(更に絢姫を罪の意識に追い込んだ)鷹男の「疑いもせずに手放しで信じた」行為は、無関心から来ていたのだとすると、絢姫が気の毒に思えて仕方ありません。

言われるがままに後宮に入り、大勢いる鷹男の相手の一人となり、鷹男は自分に関心が薄く・・・

でも、鷹男だって言われるがままに絢姫を後宮に迎い入れたわけですし、人には色んな相性があることを思えば、必ずしもその姫を好きになれるわけではないでしょうし、鷹男一人が悪いと責めることも出来ません。

まだ鷹男だって、若くて全ての女性に目配りなんか出来なかったでしょうし。
(若さゆえ、なのか、それとも鷹男の人としての器の問題なのかは、これまた興味深いテーマですが、とりあえず、ここでは「若さゆえ」と仮定しておくことにします)

帥の宮は瑠璃のお腹を(流産を狙って)グーで殴ったこと、大弐が亡くなったこと。

人妻編はやりきれない展開もたくさんありますが、絢姫たちが今後は3人で暮らしていくであろうことを示唆する終わり方は、人妻編最大の希望のような気がします。

絢姫ファミリーの幸せ、公子姫の懐妊による鷹男の救い、高彬と瑠璃のこれから永遠に続くであろう夫婦の絆。

苦味や悔恨を含みつつも、それでも未来は明るい、と思わせるストーリー展開、これこそがジャパネスクの持つ魅力であり、氷室先生の描きたかった世界観なのかな、と思います。



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好きな台詞&ご挨拶

瑞月です。

いつもご訪問ありがとうございます。

「高彬・初夜編」を連載中ですが、ひとまずお休みをして、今年最後の記事は久しぶりの雑記で締めくくりにしたいと思います。

ジャパネスクの中には印象に残る台詞(言葉)がたくさんあり、ざっと思い浮かぶだけでも

「ぼくで我慢しなよ」

「ぶっちぎりの仲よ!」

「要するに瑠璃さんは瑠璃さんで、ぼくはそういう瑠璃さんがいいなと思う」

「あんたがいれば、右近少将でなくてもいいのよ」

この他にも瑠璃母の「お睦み遊ばして」や煌姫の「白いご飯をおなかいっぱい食べて見せますわ!」などなど・・・。

どれも印象深い言葉ですが、上記以外でとても印象深い台詞があるのです。

それは

「ほんとね、ほんとにお約束するわね。ずっと一緒ね。死んだりしないでね」

です。

ご存知、「ぼくがずっと一緒にいてあげるから」となぐさめた高彬に、瑠璃が返す言葉です。

回想シーンでしか出てこない台詞ですが、とても好きな言葉です。

瑠璃は高彬にだから言ったんだろうなと思えるからです。

瑠璃は吉野君にプロポーズされた時

「結婚のケの字も知らなかったけど『女の勘』がものを言って、何か良いことを言われたと思った」

と言っていることからもわかるように、きっとそういう『勘』は小さい頃からあったんだと思います。

瑠璃は女の勘で「高彬にだからこそ」言ったんだと思います。「ずっと一緒ね」と。

いくら泣いてる時になぐさめてくれたとしても、ピンとこない相手に「ずっと一緒ね」なんて絶対に言いませんよね。

三条邸に遊びに来てたのが、他の貴族の子どもだったら、瑠璃は言わなかったと思います。

その後、瑠璃は言ったことをコロッと忘れたりしてましたが、2人はもう出会った時からお互いにビビッときてたんでしょう。

瑠璃は最後に「あんたが右近少将でなくてもいい」と言い、この台詞は第一話に瑠璃が高彬との結婚を決めた理由──右大臣家の4男だし浮気しそうにないし──と言う打算を覆した台詞のようにも取れるのですが、でも、実は最初の「ピン」と来た気持ちを違う言葉で言っているだけだったんですね。

瑠璃は最初から、高彬その人に心を預けていたんだと思います。

この人は信用して良い人だ、と『女の勘』が無意識に告げていたのでしょう。

「ずっと一緒にいてあげるから」と言った高彬にも、「ずっと一緒ね」と言った瑠璃にも拍手を送りたいです。

これ以上の素直なプロポーズってないです。

お互いに言い合ったというところが最高に素敵だと思います!

やっぱり、瑠璃と高彬はいいですね。大好きです。

大好きと言う気持ちだけで続けてきたブログですが、いつも訪問いただいている皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。

今年もたくさんコメントや拍手をいただき、同じジャパネスク好きな方と交流でき、とても楽しい時間を過ごすことが出来ました。

皆さん、ありがとうございます。

来年は引き続き「高彬・初夜編」と、そして「冬はつとめて」をお届けできたらと思っています。

ただ、私事ですが、年明けに母の手術の予定が入っており、もしかしたら年初の更新が少し遅くなるかもしれません。

その時はすみません。

お正月中に少しでも書き進めて、なるべく早めにアップしたいと思っています。

それでは皆さん、今年一年、お付き合いいただきありがとうございました。

良いお年をお迎えください。




瑞月

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謎・・・4

すみません、謎シリーズ続きですが、気になってることを年内に書いておこうと思いますのでお付き合いください。

今回の謎は「なぜ瑠璃には、乳母及び乳兄弟がいないのか」です。

このことについては、まったくと言って良いほど原作で語られてはいません。

唯一、高彬と瑠璃が

「あんたに乳兄弟なんていたの?」

「普通はいるよ。瑠璃さんは育ったのが吉野だからいないだけだよ」

と言うような会話がなされているのが、瑠璃の乳兄弟について語られているシーンです。

「乳兄弟」についての、高彬のこのセリフの考察は後ほど述べるとして、まずは瑠璃に乳母がいない理由を考えていきたいと思います。

一口に「いない」と言っても「最初からいなかった説」と「最初はいたけど、何らかの理由でいなくなった説」が考えられると思います。

ますは「最初からいなかった説」。

今と違って良質な粉ミルクのなかったこの時代、誰かはお乳をあげたはずでしょうから、乳母がいなかったとしたら普通に考えたら瑠璃母ということになります。

「我が子は自分で育てます!」と言う信念で、自分の手元で育てたということも充分ありえるとは思います。

ですが、瑠璃と融が年子であることを考えると、そう長い期間、お乳をあげていられた体調ではないと思いますので、ちょっとこの説は苦しいかな、と思います。

となると「最初はいたけど、何らかの理由でいなくなった説」になるのですが、この「何らかの理由」。

これはズバリ

「瑠璃父が乳母に手を出したから」

と言うのはどうでしょうか。

瑠璃父は、ある日、ふらふらと瑠璃の乳母に手を出してしまう。(元々が浮気者なのですから、その可能性は充分すぎるほどあると思います)

夫の浮気癖には日頃から泣かされていた瑠璃母は

「外の愛人に通うのならまだ諦めるけれど、同じ邸内でなんて・・・!」

とひどくショックを受けてしまうのです。

瑠璃母だって瑠璃と同じく、本音の部分では浮気なんかされたくないに決まってますし、おそらく瑠璃の「恋愛に堅気」な性質は母親譲りなんだと思います。

だけど瑠璃母は、瑠璃のように「妻は生涯、あたし一人だけ」などとは言わずに、夫の浮気はしょうがないと自分に言い聞かせてきたのでしょう。

それが邸内の、しかも、娘の乳母と関係を持たれたことにひどく傷つき、思い余って母親(瑠璃の祖母)にこぼしたんじゃないかと思います。

だからこそ、祖母は死ぬ直前まで、浮気性の瑠璃父を責め続けていた・・・と言う推測です。

そして、妻の憔悴振りを目の当たりにした瑠璃父は反省し、乳母とその子(つまり瑠璃にとっての乳兄弟)を三条邸から離したのではないでしょうか。

時期としては、やはり瑠璃がお乳を飲まなくなったあたり・・・でしょうか。

あまりに早ければ、次の乳母が雇われると思いますので。

でも、案外、瑠璃父はその後も、その母子の面倒は見てるかも知れませんね。

子どもの方は、三条邸で使用人として働かせていたり・・・とか。

瑠璃と使用人、お互い、認識はなくても実は乳兄弟だった、なんて想像も広がります。

そこで冒頭の、瑠璃の乳兄弟について高彬が言った「瑠璃さんは育ったのが吉野だからいないだけだよ」の言葉。

これは

「瑠璃さんは育ったのが吉野だから(乳兄弟と一緒に育って)いないだけだよ」

と言う意味なのではないかと思います。

もちろん、高彬だって詳しい事情を知っていたわけではないと思いますが、貴族にやや子が生まれれば乳母が付くのが常識で、つまりは乳兄弟に当たる人がいるはずで、高彬の言った「いない」は「存在しない」の「いない」ではなく、「(一緒に育って)いない」の「いない」だったのではないでしょうか。

果たして、もし瑠璃に乳兄弟がいたとしたら、それは男か女か。

それを知ったときの瑠璃の気持ちは?小萩の気持ちは?

・・・・・妄想が広がります。





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謎・・・3<追記あり>

瑞月です。

久しぶりの考察をしたいと思います。

謎シリーズ「1」と「2」をやったのは、ブログを開設したばかりの頃でしたが、いまさらではありますが「3」です。

ちなみに「1」の時は、高彬が瑠璃の部屋に乗り込んだとき(愛染明王のときですね)守弥は逃げることができたのではないか?と言うことを取り上げ、「2」では、どうして帥の宮は生まれた子を我が子と思ったのか?を取り上げています。

(取り上げたと言いましても、ただ(謎だよねぇ。なんでだろうねぇ)と不思議がってるだけで、謎は少しも解明されてはいないのですが・・・)

そして「3」では趣向を変えて「瑠璃は何年間、吉野で過ごしたのか?」を考察し、さらにはそこから少しばかり仮説を組み立てていきたいと思います。

まずは「瑠璃は何年間、吉野で過ごしたのか?」です。

原作には、京に戻ってきたのは10歳と明記されていますが、何歳から吉野に行ったのかの明記はありません。

瑠璃たちの母親は、融を産んでから床に伏しがちになり、そのために瑠璃が吉野にいるお祖母さまのところに預けられた、となっていますので、一番、早かったとしても瑠璃が一歳を過ぎたあたりと考えることができます。

ですが、よく読んでみると「融を産んで以来」と書かれているので、出産後すぐにではなく、寝たり起きたりを繰り返すなかで、なかなか良くならないないので吉野に預けた、と言うニュアンスが伝わってきます。

そして、もうひとつのヒントとなるのは、瑠璃が夏姫を見たのが一度きりだと言うことです。

その一度と言うのは、吉野から帰った瑠璃が、高彬たちと庭で相撲を取っている時です。

夏は融の乳兄弟で、女童として三条邸に上がっていて、さらには高彬、融としょっちゅう遊んでいたわけですから、ずっと三条邸にいたと考えるのが妥当です。

その夏を、瑠璃は吉野から帰京した時に初めて見たと言うのですから、おそらく物心付く前の3歳あたりには瑠璃は吉野に行っていたのではないでしょうか。

そして、瑠璃と高彬の出会いはいつだったのか、と言うのも一緒に考察してみたいと思います。

実は原作のなかでは、そのことに言及されていません。

吉野から戻って泣いてばかりいる瑠璃をなぐさめた、と言うエピソードにより、何となくその辺りが初対面ではないかと・・・とほのめかされてはいますが、文章としては明確に「帰京した瑠璃と高彬は、その時が初対面だった」とは書かれてはいないのです。

融にお姉さんがいることを高彬が知っていてもおかしくはないですし、瑠璃だって吉野に行きっきりってことはないでしょうから(瑠璃父&瑠璃母だって、娘に会いたいでしょうし)、高彬は吉野から一時帰京した瑠璃の、気配なり顔なりを見ていた可能性は充分あると思います。

まぁ、言葉を交わした、という意味では帰京してからが「初対面」かも知れませんけど。

高彬にとっては、垣間見た瑠璃は何となく忘れられない存在だったのでは・・・なんてことも、あれこれ考えてみるのも楽しいことです。

さて、とりあえず瑠璃は3歳前後から10歳までの7年間を吉野で過ごしたと仮定した上で、ここからが実は本題の「謎」なのです。

一体、なぜ、瑠璃はそんなに長きに渡っての期間を吉野で過ごしたのでしょうか。

言い方を変えれば、なぜ瑠璃父はそんなに長く瑠璃を吉野にやっていたのでしょうか。

瑠璃母が病がちで・・・と言うのが理由のようですが、核家族で育児は母親が一手に引き受けてる今の家庭事情ならいざ知らず、基本、家族は別々に暮らしていて、乳母や女房が子育てをしていた時代の理由としては、7年と言う長さはどうにも不自然なのです。

また、もしも「家族に(邸内に)病気がちな人がいて、子が育つ環境としては不適切」と言うのであれば、融だって一緒に吉野に行かせているはずです。

つまり「瑠璃だけ」吉野に行かせているのです。

それはなぜか。

さて、ここからがおなじみの妄想タイムの始まりです。

(いつも以上にかなり妄想度が高いですので、閲覧ご注意ください)

瑠璃だけ吉野に行かせている理由─────

それは瑠璃に

『東宮妃としての婚約話が持ち上がったから』

ではないでしょうか?

当時の東宮、つまりは今の鷹男ですね。

瑠璃が3歳の頃、鷹男は5歳くらいで、東宮としての確かな後見が欲しくて、家柄が申し分なく、年も釣り合いの瑠璃に目を付けるというのは考えられる政策だと思います。
(もちろん鷹男自身が、でなく、回りの人間が、ですが)

娘を、後宮と言う窮屈で陰険な場所に入れたくなかった瑠璃父は、とりあえずの回避方法として瑠璃を京から遠ざけたのではないでしょうか。

もしかしたら、それこそ瑠璃が生まれるか生まれないかの辺りから、東宮サイドは大納言家の姫君を狙っていたのかもしれません。

それをのらりくらりとかわしてきたのだけれど、日に日に「ぜひ東宮妃に!」の声が強まってきて、いよいよと追い込まれたときに、瑠璃を吉野にやったのではないでしょうか。

表向きの理由を妻の病気と称して。

そしておそらく、瑠璃が帰京してしばらくは、東宮(鷹男)との婚約話(もしくは入内話)はしつこくあったと思います。

もちろん正式な話ではなく、根回し的なレベルで。

その時は、母や祖母の死により傷心していることや、京での生活に慣れていないこと、また実際、その時の瑠璃は十分にはねっかえりだったわけですから、それらを理由に瑠璃父は断り続けていたのでしょう。

後年、瑠璃の初夜めがけて鷹男が文を寄越したとき、瑠璃父は

「もし瑠璃が入内でもしたら我が家は安泰だ。ことは政治的な問題で、どうか高彬どのもわかってくだされ」

みたいなことを言って、いったん結婚を無期延期にしていますが、あれは本心ではなく、高彬の手前「常識人」としてポーズを作ったのではないかと思います。

あの時代の大貴族の「常識」と言ったら、娘を入内させて権力掌握をねらうこと、と言っても過言ではないことを考えると、瑠璃父はとりあえずは「他人」である高彬の前でそう振舞ったとしてもおかしくないと思うのです。

つまり「いかん、いかん、娘を後宮などにはやらん」と声を大にして言ったら、それこそ「変わり者」のレッテルを貼られる時代でしょうし、そういう意味では瑠璃父はかなりの「気にしい」だったのかもしれません。

実際、根回しレベルならのらりくらりとかわせても、東宮から直筆の求愛の文が来たら、それを無視して結婚するわけにはいかないのは事実でしょうし、そのあたりの混乱が瑠璃父の言葉から読み取れる気がします。

(それにしても鷹男、何も初夜めがけて文を贈らなくてもいいと思うんですけど。高彬はその文のせいで謹慎まで覚悟したんですからね。今で言うパワハラですよ・・・)

瑠璃父は「瑠璃の性格気質からして入内などは夢にも思っていないし、もししても自分の気苦労が増えるだけ」などとも言っていますが、そうではなく、実はそもそも「入内などさせたくなかった」んだと思います。

娘や孫を、出世や権力の道具にしたくなかったのではないでしょうか。

当時は、娘が子どもが生める年齢になったら、すぐに出産を急かす位なのに、18歳の瑠璃が(ウソの)懐妊祈願を申し出たときにも「まだ早い」などと言って渋っていますしね。

そんなところからも、自分の出世より、本当に瑠璃の幸せを考えている父親像が浮かんでくるのです。

そしてその瑠璃父の考え方は「地位や身分より純な心意気が大事」と言い切る瑠璃や、出世に無頓着な融にも引き継がれているようです。

その瑠璃が吉野になじみすぎて、少々規格外の姫に育ってしまったこと、吉野君と出会って初恋の思い出を引きづってしまったこと、さらにはそこに自分の浮気性の悪影響も加わって瑠璃が独身主義者になってしまったことなどは、おそらく想定外のことだったのでしょうけど。

なので、瑠璃父にとって高彬との結婚は本当に嬉しかったはずで、それは何も右大臣家の四男だからと言う理由ではなくて、高彬ならその性格から言って、瑠璃を大事にしてくれるはず・・・と思ったに違いないのです。

だからこそ「下にも置かぬ」もてなしをしたのでしょうし、あんなにも瑠璃たち夫婦仲に敏感なんだと思います。
(瑠璃が失踪騒ぎを起こしたときも「このままだと離縁ですぞ!」とまくしたててましたし)

と言うわけで

瑠璃が何年にも渡って吉野で過ごしていたのは、東宮妃の婚約話を回避するため。

瑠璃父は本当に瑠璃を愛しており、自分の出世よりも娘の幸せを誰よりも願っていること。

実にもう、瑠璃と高彬のラブロマンス成立の最大の立役者は、娘の入内を拒んだ瑠璃父であった────

と言う仮説はいかがでしょうか。

昨夜、寝ないで考えたんですけど。

ただの妄想だと一蹴されれば返す言葉もありませんが、高彬と瑠璃のラブストーリーの裏には、こんな瑠璃父の深い愛があったのだと考えると、ほのぼのと温かく、まさしく2人のプロローグにふさわしいと思うのです。

なので、どうか『何を馬鹿なこと言ってるんだ、瑞月さんは』などと、絶句しないでくださいね。




<追記>

コメントで「みそさま」「cookiemomさま」に素晴らしい仮説をいただいたので追記です。

瑠璃が何年にも渡って吉野で過ごしていたのは、東宮妃の婚約話を回避するため─────

それは娘のためであると同時に、右大臣(高彬父)との確執をさけるためだったのではないか、と言うコメントをいただきました。

本当にその通りだと思いました。

右大臣は、当時数人の娘がいて、いずれ入内を考えていたわけですよね。

それを察知していた瑠璃父は、波風をたてたくなくて、瑠璃の婚約を回避したのかも知れません。

なぜ東宮サイドが瑠璃に目をつけたのかと言うと、もしかしたら、当時から右大臣vs左大臣の勢力争いがひどくて、中立の大納言家の姫に白羽の矢がたったのかも知れませんね。

(右大臣家の姫を入内(婚約)させたら、左大臣が黙ってないでしょうし。どこの姫を入内させるかで、ぐらりと勢力が変わってしまいますからね)

娘を婚約させないどころか、遠く吉野の地に送った大納言に、右大臣は人柄の良さや<年少者としての可愛げ>を感じ、そのあたりから両者の交流が始まり、結果、高彬と融が親友になったというのは、とてもありえる話だと思います。

なので、後年、瑠璃が渦中の人となって評判ががた落ちになった時にも、右大臣が愛息子と瑠璃の結婚話をはねつけられなかったのは、内大臣に涙ながらの頼まれたからほだされた、と言う以外にも、このときに感じていた恩があったからかも知れませんね。

なんだか、すべてのピースがはまった感じがして嬉しいです。




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ジャパネスクあれこれ3

こんにちは、瑞月です。

新春一作目の「初春の夢」にたくさんの拍手ありがとうございました。

短い作品ですが、丁寧に大切に書き上げました。

さて新年ということで、ちょっと初心にかえって、どうしてこんなにジャパネスクが好きなのか・・・を考えてみました。

話が面白い、登場人物が魅力的・・・などは当然なのですが、もうひとつ外せない理由に「言葉の美しさ」があります。

氷室先生の文章は品があると思うのです。

特にジャパネスクは時代が平安、登場人物が貴人なので、敬語もバンバン出てきます。

藤宮さまや小萩が使う言葉なんて、そのまま敬語の勉強にも使えるんじゃないか?と思うほど、きれいで正しい日本語です。

高彬の話す言葉もきれいです。

唯一、瑠璃はその性格からか、語尾が「~でさ」になったり、「うっさいわね」「うそだろーっ!」などの言葉使いをしていますが、それだって決して下品ではありません。

ジャパネスクは小説から入ったので(漫画を読んだのはつい最近)どうしても小説に思い入れがあり、この二次小説も、当然、小説ベースで書いています。

そういえば、漫画ジャパネスクの瑠璃の言葉の中でちょっと違和感を感じるものがあります。

帥の宮との最後の場面。

みぞおちに一発くらって、意識朦朧の瑠璃が

「がんばれ、あたしっ」

と自分を叱咤激励するのですが、この言葉がどうも気になるのです。

瑠璃はこういう言い方しないと思うけどなー、とかそんな気がして。

漫画ジャパネスクは、かなり小説のセリフを忠実に再現しているのですが、このセリフにはちょっと違和感です。

多分「がんばれ」と言う言い回しがしっくり来ないんだと思います。

瑠璃の言い回しって「がんばるのよ」とか「がんばらなきゃいけないのよ」とか、そんな感じなんです。

帥の宮事件の真相を追っている最中の瑠璃が

『もう一度、頭がハゲるほど考えるのよ、瑠璃!』

だったことから見ても、この場面では

「がんばるのよ、瑠璃!」

の方が瑠璃っぽいのにな、と生粋の小説あがりのファンとしては思うのです。

決して、漫画ジャパネスクを否定しているわけではありませんので、誤解なきようお願いします。

漫画ならではの表現方法もあると思いますし、小説新装版でもかなり言い回しが変わっていたことを思えば、時代を考慮してのこともあったのかも知れませんしね。

一ファンの戯言ということで。

さて、戯言ついでにもうひとつ。

ジャパネスクの成り立ちを、勝手に考えてみました。

氷室先生はジャパネスク一作目を「ざ・ちぇんじ」の習作として書いた、と旧版一巻のあとがきで書いています。

書き上げてみたら思いのほか気に入ってしまい、続編を書いたそうです。

そういう目で読んでみると、確かに一話は小萩は登場していないし、一話完結として書いたような感じのお話に仕上がっています。

ここからがいつもの想像なのですが、氷室先生は二話(二の姫の邸に乗り込む話)を書いた時点で、唯恵事件と瑠璃と高彬の結婚の形を考えていたように思います。

二話で、突然、初夜を迎えることとなった瑠璃は、結婚支度の調度が何も揃ってないことを「悔しい」と泣き出します。

普通の姫は、すべてを新調してもらうのに、と。

そして、結果として瑠璃は「真新しい木の香の漂う」新三条邸で、高彬と初めての夜を迎えるのです。

調度どころか、何もかもが新しい環境でその日を迎えたわけです。

「使い古した調度に泣く瑠璃」は「新三条邸で結婚する瑠璃」と対になっているように思えるのです。

仮にそうだとすると、三条邸を新築させる理由が必要で、そのために吉野君の復讐劇の幕開けとして三条邸全焼を持ってきたのでしょう。

そうなると、三条邸が焼失した後に瑠璃をかくまう場所、しかも内裏に近い場所が必要で、そのために藤宮さまが必要になったわけです。

藤宮さま登場は三話(入道の変)ですね。

つまり二話で、瑠璃と高彬のキャラ設定を固めて(突拍子のないことをする瑠璃、朴念仁で堅物だけど誠実な高彬)さらに二の姫も登場させ(一話は名前だけ登場)三話で鷹男と藤宮さまを登場させて、これで唯恵事件での役者が揃いました。

一巻すべてが二巻へのプロローグです。

プロローグといえば、「アンコール編」での守弥の「スクランブル」と「ダンディ」、あれは分類するとしたら帥の宮編のプロローグですよね。

帥の宮編で活躍する守弥と煌姫を登場させて、しっかりと読者にキャラを植えつけています。

高彬の「ミステリー」は唯恵事件のエピローグ、でしょう。

面白いのが「瑠璃姫にアンコール」です。

瑠璃の帰京&二人の結婚という大切なエピソードではありますが、でも主となるストーリー自体は全くジャパネスクの話の流れと無関係なんです。

登場する夏&聡子姫&涼中将は、この話以外出てきません。

別の言い方をすると、守弥&煌姫はこの話には出てきていません。

融の片恋が進展するわけでもないし、どちらかと言うと主要キャラが脇役となっている感すらあります。

おそらく氷室先生は大人の恋の形を書きたかったのでしょう。

既出の人物だと、ああいう感じの恋の話にはならないので、一話限りの登場人物を出してきたんだと思います。

更に想像を進めると「ダンディ」で書いた瑠璃&守弥の、そこはかとなく漂う「大人の恋風味」に先生自身が触発されて、この話が浮かんだのかもしれません。

瑠璃×守弥のカップリングで話を掘り下げるわけにもいきませんしね。

・・・・と、ここまで書いてみて思うことは、我ながら呆れるくらいジャパネスクが好きだなぁということです。

どこまで妄想すれば気が済むんでしょ。

そういえば「なんて素敵にジャパネスク」を「なんジャパ」と略されているのを知ったときは、なぜだか衝撃でしたね。

発売当時、「なんジャパ」なんて呼んでいる人はいなかったはずです。

「ジャパ」もいなかった。せいぜいが「ジャパネスク」でしたね。

教室で「ぶっちぎりの仲」に大笑いして、「遊んでたもれー」なんてふざけあって。

懐かしい。

昭和の時代の話ですけどね(笑)



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